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第5期 R001
叁原顺表纸担当雑誌等

第5期 R002
『はみだしっ子』単行本花とゆめコミックス 全13巻

第5期 R003
爱蔵版『はみだしっ子』他『はみだしっ子』関连

第5期 R004
『ルーとソロモン』関连

第5期 R005
『ムーン?ライティング』『厂辞苍蝉』単行本

第5期 R006
『齿顿补测』『ビリーの森ジョディの树』などその他の単行本

第5期 R007
白泉社文库新旧カバーバージョン

第5期 R008
イラスト集レコード类等

  右:『チェリッシュギャラリー 三原順 自選複製原画集』
     (1979年4月20日/白泉社)
 左表:『チェリッシュギャラリー 2 三原順 自選複製原画集 2』  
    (1984年4月25日/白泉社)
  奥:『かくれちゃったの だぁれだ』
    (1984年7月25日/白泉社)
右手前:『サウンド?コミック?シリーズ はみだしっ子』
    (1983年2月21日/キャニオン?レコード)
 左裏:『ハッシャバイ ねんねんころりよ』
    (1977年7月25日/白泉社)

第5期 R009
グレアム特集

6月1日から14日までは、展示好评のため会期を延长してのアンコール展示である。
2月1日から5月31日までの全四期に展示した「はみだしっ子」メンバー4人の原画のうち、好评だったものをカラー2枚、モノクロ2枚、各4枚ずつ展示した。
グレアムは搁009-搁010、搁017-搁018
アンジーは搁011-搁012、搁019-搁020
サーニンは搁013-搁014、搁021-搁022
マックスは搁015-搁016、搁023-搁024
の番号のケースに収めてある。

第5期 R010
グレアム特集

グレアム
本名はサーザ?グレアム?ダルトン。12月26日生まれ。4人の中では一番年长でリーダー的存在(作中ではアンジーに「キャプテン?グレアム」と呼ばれる)。父亲は有名ピアニスト。犬をかばって父に打たれたことが原因で、最初のころは片目が见えない。责任感が强く頼りになるが、むしろそのために抱え込んでしまった重责や大きく膨らんだ彼の心の葛藤が、物语终盘のメインテーマとなってゆく。

第5期 R011
アンジー特集

アンジー
本名はリフェール?ステア。アンジーはフランス语のアンジュ(天使)をもじった爱称。诞生日は3月22日。左利き。口は悪いが人一倍优しい。「はみだしっ子」の中で、年齢は上から2番目。女优を目指す母が、母の姉の家にあずけたままにしていた。母は、最初は定期的に会いに来ていたが、アンジーが小児麻痺になり脚が思うように动かなくなった顷、女优业が轨道に乗り始めたこともあり、ほとんど会いに来なくなる。母に会うため6歳の4月に家出したアンジーだが、母が自分より仕事を选んだことを悟りそのまま放浪の旅にでる。足は自分でリハビリし克服した。母亲譲りの美貌で、フリルのシャツなど华美な服装を好む。叁原顺はアンジーについて「料理とけが人の手当て、もめごとを悪化させるためには人并以上の才を持つ」(『花とゆめ』1977年2号)と记す。

第5期 R012
アンジー特集

第5期 R013
サーニン特集

「梦をごらん」前编のカラー扉。サーニンを囲むように描かれた数々の写真は、この回に登场する喫茶店のマスターが、常连客を写したポートレイトだろう。マスターは优しく诚実な人物であり、それまでの「はみだしっ子」に登场する大人の中ではとても信頼できる人物として描かれるが、実は戦争に参加したことがあり、戦场とはいえ人を杀した経験に苦しんでいる。マスターは、店の常连客のポートレイトを贴ったアルバムをときどき开いては、写真の中の"人间"を见、"モノ"ではないと再认识し、その心の均衡を保っているのである。

第5期 R014
サーニン特集

第5期 R015
マックス特集

マックス
本名はマックス?レイナー。「はみだしっ子」の中では最年少。酒乱の父に虐待のうえ杀されかけ、逃げ出したところをグレアムたちに拾われて、一绪に旅を続けることになる。でっぱった広くかわいいおでこが特徴。年少らしく泣き虫で甘えん坊な面が目立つが、実はリーダーシップのある性格であることが、成长するうちにみられるようになる。また、マックスは、叁原顺が高校时代に书いていた「はみだしっ子」の前身的小説の中では一贯して主人公だったキャラクターでもある。

第5期 R016
マックス特集

第5期 R017
グレアム特集

「はみだしっ子」
グレアム、アンジー、サーニン、マックスの4人の少年が、各々の事情で肉亲の保护を受けることなく生活することとなる。ストーリーは、4人一绪の放浪生活を描く序盘(笔补谤迟Ⅰ「われらはみだしっ子」~笔补谤迟Ⅸ「そして门の键」)、グレアムとアンジーがある大きな秘密を抱え、かつ4人离れ离れに生活せざるを得なくなる中盘(笔补谤迟Ⅹ(山の上に吹く风は」~笔补谤迟ⅩⅡ「里切者」)、再び4人一绪に生活することになり、さらに申し分のない保护者が见つかりもするが、かつて抱えた问题の大きさや、新しく発生した事件などに翻弄され立ち向かう终盘(笔补谤迟ⅩⅢ「窓のとおく」~笔补谤迟ⅩⅨ「つれて行って」)に分けることができる。

第5期 R018
グレアム特集

第5期 R019
アンジー特集

第5期 R020
アンジー特集

この、アンジーが大きく描かれた重要なシーンは、叁原顺が本来最终回にしようと思っていた回のクライマックスシーンである。决めシーンであるためか、アンジーの颜の部分の描き直しには凄みがある。叁原顺の原画の中でここまで描き直しの跡が残るものは比较的珍しい。他には、例えば「遥かなる祈り」の、両亲の离婚の知らせを受け取った少年の表情を5时间かけて何度も直したという証言などもある。叁原の创作へのこだわりが感じられ兴味深い。
また、叁原作品では、重要なシーンにおいて、优しさを突き放した态度で表现するという例が多いのではないか。このシーンもグレアムを思うアンジーが、死にたければ自分が杀してやるという、紧迫感ある印象的なシーンである。

第5期 R021
サーニン特集

「里切者」解决编より1ページ。「里切者」は前后编で完结せず、解决编が描かれておわった。こういう场合は「完结编」となるのが普通で、「解决编」というのは珍しいかもしれない。だが、「里切者」のストーリー自体にミステリー的要素があるので、话を通して読むと、解决编という言い方がとてもしっくりくるのがわかる。展示したページは、サーニンが爱马エルとレースに出场したものの、やむを得ない事情で、疾走している途中、故意に立ち止まった一连のシーンのうちの1ページである。周囲の马が走り抜けていく中、サーニンが空を见上げる様子を、中央に映画のフィルムを縦に置いたような、とても効果的で斩新なコマ割りで见せている。『花とゆめ』のマンガスクールへの投稿者のうち、上位投稿者に配る复製原画に选ばれるほどのシーンだったことが、右栏外をみるとわかる。

第5期 R022
サーニン特集

はみだしっ子辫补谤迟ⅩⅥ「もうなにも」より。右隣の搁021のシーンでは、大人の仕组んだ酷い八百长レースに巻き込まれ、途中でゴールすることを諦めざるを得なかったサーニンが、将来骑手になり、爱马エルと、それが难しければその子どもと「今度こそあのゴールを駆け抜ける」と言うシーン。

第5期 R023
マックス特集

さまざまな大人との出会いと别れを繰り返したのち、申し分のない家庭の养子となったはみだしっ子の4人。养父母と4人が、お互いの距离を模索していた顷、マックスが养母パムに、母ができたことの嬉しさを表したシーン。
正面:はみだしっ子 partⅩⅧ
   「ブルーカラー」本文原画
   (1979年『花とゆめ』14号)

第5期 R024
マックス特集

物语终盘、4人は事件に巻き込まれ裁判沙汰に陥ってしまう。その涡中、养父ジャックがマックスに平等についての话をするシーン。本年1月27日、蔼产辞飞飞辞飞辞濒蹿氏がこのシーンを引用して、短文投稿サイト罢飞颈迟迟别谤に投稿して话题を呼んだ。现在2万リツイートを超え、今なおリツイートが伸び続けている。该当ツイートは以下である。
"最近「平等という建前で弱者も強者も老若男女構わず全員平等にぶん殴ってたら弱い奴から倒れるだろ」(大意)という意見を読んで、三原順「はみだしっ子」の「橋の下の例え話」を思い出した。こういうことなんだよな(白泉社文庫版5巻261頁)" 2015-01-27 22:10:56
产辞飞飞辞飞辞濒蹿氏は、このツイートの后さらに、
"この「橋の下の例え話」は、実は作中では主人公たちの敵側の弁護士の手法を指しています。しかし現実の我々には強烈に印象に残るものでしょう。ぜひ実際に作品を読んでほしいと思っています。" 2015-01-29 23:42:23
と続けている。
この「桥の下」の论理は正论だが、使い方次第で弱者を装う者をも救ってしまうということなどが、「はみだしっ子」作中では指摘される。弱者とは、それを助けるとはどういうことか、叁原作品はそうしたことを深く考えさせてくれるのである。

第5期 R025
デビューまで

手前右は、三原順のペンネームが誕生した瞬間を示すメモ帳。"三原綱木"は、彼女が当時好きだった元ブルー?コメッツのギタリストの名前であり、「じゅん」の字も色々模索した上で、結局本名の順子から取ることにしたことがわかる。展示してあるLPは三原順の遺品の中にあったブルー?コメッツのもの。奥左は、「はみだしっ子」の原型小説「Day Tripper」が書かれた高校時代のノートの束。奥右はデビューしてからのものだが、「はみだしっ子」の掲載開始前に何度も描き直されたといわれるボツネーム用のノートである。

中央:「はみだしっ子」原型小説ノート11册
 奥:「はみだしっ子」ボツネーム帐
手前:亜土ちゃんミニノート 3册
 左:『ヨーロッパのブルー?コメッツ』
   (ブルー?コメッツ/1968年)

第5期 R026
デビューまで

正面原画は『别册マーガレット』72年9月号の「第51回别マまんがスクール」で佳作をとった「マッド?ベイビィ」の扉。この回のスクールは、受赏者ページに名香智子、くらもちふさこ、仓持知子と、后にプロとして大活跃するメンバーが名を连ねていた。黒を基调に四角のコマを并べたデザイン性の高いこの扉は、その中にあってもひときわ目をひくものであった。第56回、「ぼくらのお见合い」で金赏をとってデビュー。それまでの评では、「とにかくストーリーがわかりにくく、ひとりよがりである」という注意が多かったが、彻底してわかりやすくしたことで金赏受赏となった。白泉社文库『叁原顺杰作选'70s』の和田慎二による解説にこういう一节がある。
「…だが彼女の投稿作を目にする机会に恵まれた常连投稿者にとっては、いやおうなしに意识せざるを得ない作家であった。この时期にファンと敌(ライバル)を作っていったことを彼女自身は知るまい」。
颈笔补诲では、叁原顺の投稿作への讲评が読める。左の雑誌はデビュー作掲载の『别册マーガレット』73年3月号(前月の2月号にて、第56回别マまんがスクール金赏受赏)。

正面:「マッドベイビィ」扉原画
   (1973年『别册マーガレット』9月号)
 右:『别册マーガレット』1973年3月号

第5期 R027
三原順の本棚 1

[左下]
『最後のコラム ガン病棟からの回想』【遺品】
(スチュアート?オルソップ/崎村久夫訳/文艺春秋/1976年)
[中央]
はみだしっ子辫补谤迟ⅩⅣ
「バイバイ行进曲」より【原画】
(初出:1978年『花とゆめ』13号)
R027-029には、叁原作品に登场する书物に関係したシーンの原画と、书物そのものとを同时に展示した。展示されている本の多くは、叁原顺自身が遗したものである。
展示ページでグレアムが语る"眠い人に睡眠が必要なように 死にかけている人には死が必要なんだと……"は、白血病で亡くなったコラムニストによる『最后のコラム』から。叁原顺の作中に登场する言叶を集めた『はみだしっ子语録』(白泉社/1981)では、はみだしっ子シリーズ18「ブルーカラー」に记された"心で知る"という言叶にコメントする形で、叁原自身によってこの本が绍介されている。『最后のコラム』の作者は入院中同室だった、ビキニ环礁での核実験の犠牲者である青年が白血病で亡くなったことから、核兵器は人间が手にすべきものではないことを"心で知った"と记している。后に核问题を考える作品を描く叁原顺に、深い影响を与えた一册であったのだろう。他にもこの『最后のコラム』には叁原作品にインスピレーションを与えた箇所がたくさんみられるのである。

第5期 R028
三原順の本棚 2

[手前]
『イエペは帽子が大好き』【遗品】
(石亀泰郎 写真/文化出版局編集部 著/1978年)
[中央]
「帽子物语」扉より【原画】
(初出:1992年『花曜日』2月10日 冬の号)
1992年に描かれた「帽子物语」は、24ページの中に叁原顺の魅力が詰まった珠玉の短编。恋多き母亲に育てられ、次々と変わる家族と生活环境の中で、帽子を砦に他人を缔め出して自分を守り続けた少年が、本当は谁かに自分の帽子を脱がせて欲しいと愿い続けているという话である。珍しくハッピーエンドであり、优しく切ない読后感に包まれる。
遗品の写真絵本は、帽子好きの少年の话。着者の石亀氏がデンマークの公园で出会った、100の帽子を持つという子供をモデルにしている。叁原顺が「帽子物语」の着想を得た絵本なのであろう。ストーリーには「帽子物语」と似たところはなく、元気な少年のお话である。

第5期 R029
三原順の本棚 3

[手前]
『殺人百科 陰の隣人としての犯罪者たち』【遺品】
(佐木隆叁/徳间书店/1977年)
[中央]
はみだしっ子辫补谤迟ⅩⅨ
「つれて行って」本文より【原画】
(初出:1980年『花とゆめ』1号)
「はみだしっ子」笔补谤迟ⅩⅨ「つれて行って」で、マックスがけんか相手のリッチーに臆病者と言われるのがいやで阶段をのぼってしまうシーン。この后の乱闘で、グレアムはリッチーに腹を刺され、后に裁判へと発展していく事件となる。
このシーンが『杀人百科』にヒントを得ていることは、「はみだしっ子」の名言で构成された『はみだしっ子语録』の中で、叁原顺自身により记されている。『杀人百科』は、「復讐するは我にあり」などで知られるノンフィクション作家の佐木隆叁が、徳间书店『问题小説』に1976年2月号から连载した14话を単行本にまとめたもの。いずれも実际の杀人事件への取材をもとに书かれており、第1话「醒めた友情」に、度胸を试され阶段をのぼってしまった男の事件がある。

第5期 R030
三原順と音楽 1

[左]
『Ⅳ』【遗品】
(レッド?ツェッペリン/1971年)
[中央]
はみだしっ子辫补谤迟Ⅴ
「阶段のむこうには…」本文より【原画】
(初出:1976年『花とゆめ』8号)
「はみだしっ子」笔补谤迟Ⅴ「阶段のむこうには…」で、グレアムのことを、母を杀した人杀しだと言うエイダに、本当の人杀しを教えてやろうか?とアンジーがナイフを振り上げる鲜烈なシーン。阶段の上で煌くまぶしい光のイメージは、本作で繰り返し使われている。
また、隣の搁029もそうだが、阶段が登场する印象的なシーンが叁原作品には时々登场する。叁原顺と阶段といえば、「天国への阶段」である。展示した遗品のレコードにも収録されているこの曲は、彼女が创作中に繰り返し聴いていたことで知られている(「特别対谈 叁原顺惫.蝉.くらもちふさこ」『はみだしっ子全コレクション』より)。「阶段のむこうには…」では、グレアムの自杀した叔母のことを「おばちゃまは自杀によって天国への阶段を踏み外した」と描かれており、この笔补谤迟全体を通して、この曲のイメージが色浓く感じられる。
ケース内右の遗品のノートには、「天国への阶段」の訳诗が书かれている。叁原自身が翻訳を试みたものと思われる。

第5期 R031
三原順と音楽 2

[手前]
『ひとりぼっちの野原/つれていって』【遗品】
(ザ?キャッツ/1971年)
[中央]
「ラスト?ショー」本文より【原画】
(初出:1974年『别册マーガレット』12月号)
「つれて行って」は「はみだしっ子」最終編のタイトルで知られるが、三原作品の中で繰り返し使われる象徴的なフレーズ。ザ?キャッツ『ひとりぼっちの野原/つれていって』 は1971年の曲。小鳥に向かって、「つれて行ってよ、空の上に」と語りかけるような静かなナンバー。鳥もまた、三原作品でしばしば象徴的に使われるイメージである。
原画は「はみだしっ子」が始まる直前の1974年に発表された「ラスト?ショー」で、少年がサーカス団の先輩に何故ショーをするのか?と尋ねた後のシーン。背景に「TAKE ME WITH YOU」とともに「OCTOPUS'S GARDEN」の文字が小さく描かれている。1982年「はみだしっ子」完結後の番外編のタイトルは「オクトパス?ガーデン」であった。「つれて行って」と「オクトパス?ガーデン」のイメージが、作品が始まる前にすでにあったことは興味深い。少なくとも8年の間、三原が抱き続けたイメージであったのである。

第5期 R032
三原順と音楽 3

[右]
『天使の歌声/エンジェル?クレア』【遗品】
(アート?ガーファンクル/1973年)
[中央]
はみだしっ子辫补谤迟Ⅹ
「山の上に吹く风は」本文より【原画】
(初出:1977年『花とゆめ』7号)
「はみだしっ子」辫补谤迟Ⅹ「山の上に吹く风は」で、银行强盗をして逃走中の犯人ジョイが雪山で拳銃自杀をした后、マックスがジョイの死体を思うシーン。
遺品のレコードは、サイモン&ガーファンクルのアート?ガーファンクルの1stソロアルバム。この中の「魂は何処へ」に「宇宙飛行士は月に向かう死者の魂を通り過ぎるかい?」 というフレーズがあり、本シーンのマックスのセリフのヒントになっていると思われる。なお、同アルバムの「木の葉は落ちて(FEUILLES-OH)」という曲が、初期短編「赤い風船のささやき」のイメージになっていることは、鈴木光明著『続?少女まんが入門』の中で紹介されている。
三原の遺品レコードで同じものが3枚確認できたのは、このアルバムと、「天国への階段」が入ったレッド?ツェッペリン『IV』 の2点である。いずれも相当に聴き込んだのであろう。