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新領域創成型研究?若手研究詳細 2007年度

行政活动における市民の信頼の影响に関する研究:行政の内在的要因による変化を中心に

研究课题名 行政活动における市民の信頼の影响に関する研究:行政の内在的要因による変化を中心に
研究种目等 若手研究
研究概要 (研究目的)
 本研究课题「行政活动における市民の信頼の影响に関する研究:行政の内在的要因による変化を中心に」は,行政活动に対する市民の支持を确保するために,行政活动における市民の信頼の役割はどのようなものであるのか,そして行政改革による行政侧の组织や管理活动の构造変化が市民の认识に与える影响について検讨することを目的としている。近年は,行政に対する信頼低下が数多く指摘されるようになった。その背景として市民の政治文化の変化や,新闻やテレビによるマスコミ报道の影响が论じられている。しかしながら本研究が注目とするのは,こういった信頼する侧の市民の変化ではなく,信頼される侧である行政の构造変化が市民の认识と信頼に与える影响である。行政に対する市民の信頼を信頼される侧である行政の内在的要因から把握しようとするこの研究では,诸外国の事例を基に,过去数十年间行われてきた行政改革がもたらした行政组织や行政管理の构造変化が,市民の行政観や信頼にどのような影响を与えるのかについて明らかにしようとする。その点で,本研究は従来の行政研究とは次の叁点において性格を异にしている。
 第一に,これまでの行政研究の多くは,官僚制论を主とする政治と行政の接点领域に焦点が当てられてきた。行政活动を権力活动とみなし,その中心的主体である官僚制を政治の侧からどのように民主的に统制するかという视点が强调されてきたのである。このような状况に対し,本研究は,行政をその活动に直接影响を受ける市民との関係で捉えなおそうとし,行政市民関係论の立场から行政活动に対する市民の信頼に焦点をあてる。また近年は,市民协働や市民パートナーシップによる行政运営を提唱する研究が多いが,このような取り组みには,行政に対する市民の支持や信頼が不可欠となる。その意味で本研究は,市民协働论のような规范论に対して,现実的なアプローチを行うものでもある。
 第二に,近年は政府や行政に対する市民の信頼低下が多く指摘されるようになったが,その要因については信頼する側である市民の変化を挙げる研究が多い。Inglehart (1990,1997)は,経済的に豊かになるとポストマテリアリズム(脱物質的)な価値が社会を支配するようになり,市民は権威に従わなくなり,政府活動に対する支持が低下すると指摘している。またPutnam(1994)は,現代では社会的な組織への参加が減って社会の人間関係資本(social capital)が弱まり,市民間の一般的信頼が低下することにより政府や行政といった制度に対する信頼も低下したと論じている。これに対し本研究は,信頼する侧の市民の特性ではなく,信頼される侧である行政の特性の変化に焦点をあてる。信頼の问题とは,上记のような信頼する侧の问题であると同时に,信頼される侧がどのように信頼を确保するかという问题(山岸(1998)のいう「信頼性」)でもある。信頼の构造を明らかにするためには,信頼される対象である行政侧の特性やその変化についても検讨する必要があるからである。
 第叁に,本研究は,過去数十年の間進展してきた行政の構造変容を,市民の信頼の視点から再評価を行う試みとなる。1970年代の後半まで,先進諸国では政府が国民生活に積極的に介入を行う福祉国家(行政国家)をモデルに行政体制の整備を進めてきた。経済政策においては国有産業が基之b業として位置づけられ,鉄道,航空,道路といった社会インフラの整備が国策として進められてきた。また政府の役割の拡大にともない,それを担う公務員の量的拡大が進められてきた。しかし,こういった福祉国家モデルは先進国を襲った石油危機により修正を迫られるようになる。各国では,民営化や行政の守備範囲の縮小,行政の活動への民間経営手法の導入による効率化といった構造変容が進められてきた。このような民間手法の導入による行政活動の効率化を,総称してNPM(New Public Management)と呼ぶが,わが国でも国鉄の民営化や国立大学の独立行政法人化,自治体レベルでの指定管理者制度の導入など,行政の構造に多くの変容をもたらした。このNPMに基づいた行政改革に対しては,行政の活動を効率化させ財政の向上に寄与したという肯定評価と,公務員の能力を弱体化させ行政の透明性を低下させたという否定的な評価が拮抗している。本研究は,これらの行政组织や管理形态の変化が市民の信頼に与える影响について検讨することにより,狈笔惭による过去数十年间の行政の构造変容に対する,新たな评価视点を提供することになる。
 従来の政治?行政研究では,市民の支持や信頼について全く论じられてこなかった訳ではない。古くはマックス?ウェーバーが,强制力に基づかない権力への支持を「権威」として発见していた。しかし今日,市民の信頼が改めて问われるようになった背景には,现代に固有の课题があるはずである。本研究は,狈笔惭という80年代から现在にかけて世界を席巻した行政改革の潮流を题材に,これによる行政侧の构造変容が市民の行政に対する认识や信頼に与えた影响について検讨することにより,信頼される侧である行政に内在的な要因を明らかにしようとする。これにより,どういった改革の手法や内容が市民の信頼向上に寄与するのか(しないのか)ということを明らかにする手がかりを得ることが可能となる。また,これまで単に被统治者や公共サービスの利用者とされてきた市民と行政の関係に新たなアプローチを提供することになる。本研究により,现代における行政と市民の関係の在り方についてより重层的な视点からの把握が可能となり,もって今后の行政研究の展开に资することを最终的な目标とする。

(研究活动の概要)
 本研究は,行政活动における市民の信頼の役割はどのようなものであるのか,そして行政改革による行政侧の组织や管理活动の构造変化が市民の认识に与える影响について検讨することを目的としていた。研究活動の概要は,主に関連文献?資料の調査分析と,海外での実態調査にわかれる。
 文献调査では,诸外国政府や翱贰颁顿,国连などの国际机関が発行している资料の収集を中心に行い,各国の政府が市民の信頼をどのように受け止め评価しているのかについての検讨と,信頼性向上へ向けた各国の取り组み概要とその成果の検証について分析を行った。また併行して,学外の研究者との意见交换などを実施した。
 海外での実態調査に関しては,2007年12月に政府や行政に対する市民の信頼の把握を積極的に行っているイギリスで現地調査を実施した。ロンドンでは自治体の監査や業績評価を行うAudit Commissionの研究部を訪問し,自治体の新しい業績評価指標として開発が進められているCAA(Comprehensive Area Assessment)の動向や,サービス満足度指標の動向などについて情報集と意見交換を行った。その後,信頼研究の拠点であるバーミンガム大学地方自治研究所(INLOGOV)を訪問し,欧州やイギリスにおける信頼研究の最新動向などについて,Tony Bovaird教授やSteven Van de Walle研究員と有意義な議論を行うことができた。

(研究成果の概要)
 上記の研究活動の成果の一部として,2007年6月に日本公共政策学会研究大会(於:東北大学)でイギリス政府の信頼性向上へ向けた取り組みに関する報告を行った。また,同年10月に発行されたInternational Public Management Reviewにわが国の行政改革が市民の信頼にどのような影響を与えたのかについ論じた論文が採択された。さらに,2008年3月に開催されたInternational Research Society for Public Management(IRSPM)研究大会(於:Queensland University of Technology)で,わが国の自治体改革の動向について報告を行っている。本研究で得られた知見とこれらの成果を基に今後も発展的に研究を続け,査読誌への投稿や学会発表などの成果公表を行っていきたい。
研究者 所属 氏名
  政治経済学部 助手 菊地端夫
研究期间 2007.6~2008.3
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