研究?知财戦略机构 学内フォーマット集
环境対応型机能性ハイブリッド漆涂料の开発
研究课题名 | 环境対応型机能性ハイブリッド漆涂料の开発 | ||
研究种目等 | 若手研究 | ||
研究概要 | (研究目的) 本研究课题では,ハイブリッド化/复合化による漆涂料の高机能性化を検讨している。具体的にはシランカップリング剤等のアルコキシシラン类?チタンアルコキシドおよびそれらの混合物等の添加による漆涂料の速乾化および漆涂膜の机能性向上を目的としている。 ウルシ科ウルシ属の树木から採取される漆液は,再生产可能かつ树液単独で重合?硬化する天然涂装材料である。この硬化は树液中の酵素を触媒とした主成分ウルシオールの酸化重合过程と,ウルシオール不饱和侧锁が空気中の酸素による自动酸化を受け,侧锁间での架桥が进行する过程からなる。一般の合成涂料のように有机溶剤を含まないため,挥発性有机化合物痴翱颁を放出する事がなく,漆涂料は环境に优しい涂料であると言う事ができる。また古来より美术工芸品として珍重されてきた事からうかがえる美粧性(光沢?质感等)に富むばかりでなく,耐久性?机械的强度等に优れているため食器等日用品にも広く用いられてきた。このように长所を数多く有する漆涂料であるが,「乾燥に高湿度环境が必要」「乾燥时间が长い」といった乾燥面での欠点がある。このため漆涂料の涂装后には长期に及ぶ乾燥管理期间が必要とされており,工业スケールでの利用に适していないのが现状である。 漆涂料の特异な乾燥性については,多くの研究者により乾燥性向上の検讨がなされてきた。主なアプローチは树脂等を混合して変性漆涂料とする事であるが,涂料成分の半分近くを置换しているために硬化涂膜の性质が混合した素材に影响され易いという欠点がある。 そこで我々は漆涂料のハイブリッド化を検讨した。この方法は本来,有机高分子の无机成分との复合化による物性强化手法であり,双方の特性を併せ持つ材料の开発に用いられている。また特に液体の金属アルコキシドを用いて调製したハイブリッド材料は有机?无机成分が分子レベルで分散しているため新たな特性を持たせる事が可能である。漆液のハイブリッド化は,液中の水分と金属アルコキシドを反応させると同时に酵素によるウルシオールの酸化重合を行うものである。さらにウルシオールとも反応し,両成分が结合するために相分离を起こす事がないために,无机成分の导入による物性强化だけでなく,乾燥性の向上といった新たな特性を持つ事が判明している。またハイブリッド化による漆液の改质は1割以下の添加量で済むために漆独特の质感等を保持させやすい点が特徴である。 本研究课题では,「ハイブリッド化反応时には添加剤由来の低级アルコール类が副生する」という点に着目し,漆涂料は本来痴翱颁を含まないという长所を活かすために,加水分解とアルコール除去処理を行う事で环境低负荷型ハイブリッド漆涂料とする事を目的としている(目的①)。なお,この开発研究は予备実験的に成功しており,现段阶で95%以上の副生アルコール类を削减する事が可能である。また,従来のハイブリッド漆と比べて涂料粘度が低下しており作业性の向上が期待できる。また涂膜の新机能性(耐紫外线性?透明性等)発现についても検讨を行うものである(目的②)。漆涂料を改良する事で工业规模での漆涂装製品の生产を容易にできると考えている。本技术を他の植物由来素材へ応用する事で,石油资源に依存する现状を打破する足掛かりになる事を期待している。 (研究実施报告) 漆はその涂膜が有する美粧性と物性のために珍重されてきた天然材料である。また一般の合成涂料とは异なり,树液中の酵素による酸化重合反応と,空気中の酸素による自动酸化反応を経て硬化する。そのため涂装后は酵素反応を活性化する高湿度下において长期间保存する必要があり,工业规模での涂装には适していないと考えられる。以前我々はこの问题点を,「速乾性ハイブリッド漆涂料」の开発により解消した。このハイブリッド漆涂料は添加剤であるシランカップリング剤が漆液主成分ウルシオールおよび水分と反応する点を利用しており,ウルシオール-ケイ素重合体を形成する事ができるために漆涂料の乾燥を促进する事が可能となった。しかしながらこのハイブリッド漆は,涂料调製中および涂膜の硬化时にシランカップリング剤由来の低级アルコール类が生成?放出される。そこで本研究课题では漆涂料の「天然の涂料であるために挥発性有机化合物痴翱颁を含まない」という利点を活かした,环境対応型ハイブリッド漆涂料の开発を行う事とした。 シランカップリング剤の加水分解と同时に溶媒除去を行うプロセスを开発する事で99%以上の低级アルコール类の除去が可能であった。水溶液化したこの试料を漆液にシランカップリング剤浓度が2~5质量%となるように添加,高粘度スターラーによる混练搅拌を行う事で痴翱颁フリーのハイブリッド漆涂料を调製した。得られた痴翱颁フリーハイブリッド漆涂料は従来法により调製されたものと同様に速乾性を有し,また50%搁贬前后の湿度环境下においても十分速く乾燥する事を确认した。これらは以前のハイブリッド漆と同様に,漆液成分と反応する事による高分子量化が寄与したものと考えられる。また応用事例として,植物油をベースとした反応性希釈剤による低粘度化および,无机质微粒子の充填による涂膜物性の更なる强化についても検讨した。これらの结果は学会(第57回高分子讨论会)及び论文投稿により発表する予定である。 |
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研究者 | 所属 | 职 | 氏名 |
理工学部 | 助手 | 石村敬久 | |
研究期间 | 2007.6~2008.3 | ||
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