哺乳类胚における腱と筋の相互作用を解明 「骨格筋の形态形成には腱からの作用が必要不可欠であること」が明らかに
2023年05月30日
明治大学
哺乳类胚における腱と筋の相互作用を解明
「骨格筋の形态形成には腱からの作用が必要不可欠であること」が明らかに
明治大学 农学部 生命科学科 動物再生システム学研究室(尾野雄大、Saundra Schlesinger博士研究員、乾雅史准教授)は、東京医科歯科大学、広島大学、大分大学等の研究グループと、哺乳類の骨格筋が正しく形作られる仕組みについて共同研究を行いました。その結果、腱組織が減少したマウス胚では全身の筋肉の形や結合位置が異常を示したことから、骨格筋の形態形成には腱細胞との相互作用が必要不可欠であることが明らかになりました。
私たちの全身には600を超える骨格筋が存在します。骨格筋は様々な形や大きさのものがあり、その収缩によって生じた力を、腱を通じて骨格に伝えることで、姿势の维持や复雑な身体运动を実现しています。
生后の运动器(骨格筋-腱-骨)の构造を见ると、骨格筋と腱が対になって働くことは当然と感じられますが、胚発生では四肢の骨格筋は胚の体节、腱?骨は侧板中胚叶から形成されるため、四肢の骨格筋と腱?骨は异なる场所から移动してきた后に结合する必要があります(図1)。多数存在する骨格筋と腱?骨が间违いなく结合するためには、互い结合を诱导するやり取りが必要だと考えられますが、これまでに哺乳类の骨格筋と腱の相互作用については十分に明らかにされてきませんでした。
本研究では骨格筋の结合パートナーである腱は骨格筋の形や结合场所を制御する役割があると仮定し、発生中のマウス胚において厂肠虫遗伝子を発现する细胞(主に腱靭帯细胞)が细胞死を起こすマウスモデル(厂肠虫-顿罢础マウス)を作成し、この仮説を検証しました。その结果、厂肠虫-顿罢础マウスでは、四肢の筋肉や横隔膜など全身の骨格筋の形态や结合パターンが大きく変化することを见出しました(図2)。さらにこのマウスでは骨格筋が一旦形や结合を作った后でそれらを変化させたことが示唆され、これまでに考えられていたよりも骨格筋の形态はフレキシブルに変化しうる可能性が示されました。
以上の结果から、骨格筋は腱细胞との相互作用によって形や结合位置を决定していることが示唆されました。この仕组みは个体间で再现性良く(失败せずに)运动器を形作るために重要であると考えられます。今后この相互作用の分子的実态が明らかになれば、再生医疗や种间で异なる骨格筋形态を形成する仕组みの解明につながると期待されます。本研究成果は、2023年5月29日(月)(米国东部时间)に米国の科学誌「Development」誌に掲载されました。
Scleraxis-lineage cells are required for correct muscle patterning
Yudai Ono, Saundra Schlesinger, Kanako Fukunaga, Shinsei Yambe, Tempei Sato, Takako Sasaki, Chisa Shukunami, Hiroshi Asahara, Masafumi Inui Development (2023) 150 (10): dev201101 (DOI: )
図1 骨格筋と腱は対になって働くが、 胚発生では異なる場所に起源がある (上)胚発生における筋腱の移動と結合 (下)マウス胚前肢のMyh3(筋繊維)とTnmd(腱)のin situ hybridization
図2 マウス胚前肢の骨格筋の免疫染色 腱が減少したScx-DTAマウス(右)では骨格筋(青)の形態や結合位置が異常に
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