光ファイバの高速振动を検出する技术を开発 140办贬锄の高速振动を世界で初めて検出 通信の信頼性を向上させる技术として今后の活用に期待
2023年05月31日
明治大学
光ファイバの高速振动を検出する技术を开発
140办贬锄の高速振动を世界で初めて検出
通信の信頼性を向上させる技术として今后の活用に期待
明治大学 総合数理学部 笠史郎教授は、光ファイバで起きる140kHzの高速な振動を検出することに、世界で初めて成功しました※1。その结果、実际に通信で利用されている光ファイバで起きている高速な振动の原因究明の可能性が示されました。
通信に使用されている光ファイバは、光ケーブルとして、道路や鉄道线路沿い、架空、地中、桥梁などのさまざまな环境に敷设されており、通信サービスが提供されています。光ケーブルは、このような环境に敷设されているため、列车や自动车の通行や、强风、地震などの自然现象の影响により、光ケーブル自体が振动することがあります。光ファイバ通信方式で古くから使われている强度変调?直接検波方式(光の强度を情报信号に応じて変化させる方式)では、光ケーブルが振动しても大きな问题は発生しませんでした。しかしながら、2010年顷から世界中で実用化されているデジタルコヒーレント光ファイバ通信方式(光の位相を利用してより高速な情报を伝送できる方式)においては、光の位相が光ケーブルの振动の影响を受けるため、通信に支障が生じる事态が稀に発生することが、学会で报告されています※2。このような振动は、最高で10办贬锄程度の周波数を有することが知られています※3 。高速な振动が発生しても、通信の安定性を确保することは极めて重要です。
通信の安定性を确保するためには、高速な振动の発生箇所を特定し、発生箇所における振动の発生状况を详细に把握することが必要です。これまで、世界中の研究者が高速な振动検出可能な技术について、研究を行ってきました。光ファイバ上の振动検出技术としては、后方散乱光测定技术(翱罢顿搁)があります。翱罢顿搁では、一定周期で発生させた光パルスを光ファイバに入力し、光ファイバ内で散乱されて入射端に戻ってくる光(后方散乱光)を検出する方法です(図1)。振动が光ファイバ中で起きている场合、振动箇所においては后方散乱光の位相が変化するため、入射端で振动発生个所の特定が可能です。しかしながら、翱罢顿搁では一定周期のパルス光を用いているため、パルスの繰り返し周期に相当する周波数以上の高速な振动を连続的に测定することは原理的に困难であり、通信用の光ケーブル长(通常は数十办尘)に适用可能な商用技术では、数百贬锄~数办贬锄程度の振动までしか正确には测定できませんでした。
本研究成果は、科研费(闯笔19碍04431)の研究成果を発展させたものです。
明治大学から特许出愿し、既に特许として成立しています(特许6887901号、登録日:2021年5月21日)。
通信に支障をきたす光ファイバの高速振动
従来の振动検出技术の限界
笠教授が提案した新たな振动検出技术
今回、笠教授が提案した振动検出技术では、コヒーレントヘテロダイン検波技术(光の波としての性质を用いた光検出方法)を用い、また同技术で使用する信号光と局部発振光を同期して周波数扫引することにより、连続光を用いて、后方散乱光测定が可能となりました。笠教授は、この方法を用いることにより、振动発生箇所における振动の状况を连続的に测定可能であることを示しました。そして、実际に起きる可能性がある10办贬锄を遥かに超える140办贬锄の振动を光ファイバに発生させて、后方散乱光を测定した结果、振动が発生している箇所における振动状况を连続的に测定することに、世界で初めて成功しました。
提案方法は、世界中で実用化されている、デジタルコヒーレント光通信方式が用いられている光ケーブルにおいて、通信の信頼性を向上させる技术として、今后の活用が期待されます。
论文情报
本研究成果は、米国IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が発行する学術論文誌であるIEEE Photonics Technology Letters の5月1日号に掲载されました。
Shiro Ryu, “Continuous time-domain measurement method of Rayleigh backscattered light with coherent detection, IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 35, No. 9, pp. 497-500, May 2023. (DOI: 10.1109/LPT.2023.3260877)
- ※1 従来の光ファイバの振动検出技术においては、光ファイバ长が长くなればなるほど、高速な振动検出は困难になります。今回の研究开発では、40办尘长の光ファイバにおける140办贬锄の振动の検出に成功しています。一方、従来技术を用いて同様な振动検出をした场合に検出可能な理论上の最高周波数は、光パルスの40办尘ファイバの往復时间(0.4尘蝉)の逆数である2.5办贬锄の1/2(标本化定理による)として计算され、1.25办贬锄となります。即ち、140办贬锄の振动は、この値の100倍以上の値であり、このような高速振动の検出は従来技术では不可能でした。
- ※2 P. M. Krummrich, E.-D. Schmidt, W. Weiershausen, and A. Rlattheus, “Field trial results on statistics of fast polarization changes in long haul WDM transmission systems,” OFC2005, paper OThT6, 2005.
- ※3 P.M. Krummrich and K. Kotten, “Extremely fast (microsecond timescale) polarization changes in high speed long haul WDM transmission systems, “OFC2004, paper FI3, 2004.
図1 従来の振動検出技術
図2 笠教授が提案した新たな振动検出技术
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明治大学 総合数理学部教授 笠 史郎
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