肠内细菌のグリコーゲン蓄积を制御する新规転写因子を同定 ~微生物の炭素源代谢の理解や物质生产への応用に期待~
2024年01月13日
明治大学
肠内细菌のグリコーゲン蓄积を制御する新规転写因子を同定
~微生物の炭素源代谢の理解や物质生产への応用に期待~
明治大学农学部農芸化学科ゲノム微生物学研究室の島田 友裕准教授、小林 一幾博士研究員、斎藤 駿介(博士前期課程2年)、ヤマサ醤油株式会社の保科 元気(当時法政大学学部生)は、日本電信電話株式会社(NTT)宇宙環境エネルギー研究所の今村 壮輔特別研究員、上仲 恵美研究員、櫻井 敦主幹研究員との共同研究により、大腸菌のグリコーゲン蓄積の新規な転写制御因子とその制御機構を同定しました。本研究成果は、微生物の代謝と増殖の制御の理解や微生物を用いた物質生産への応用に役立ちます。
生物はゲノムに持つ遗伝子を选択的に利用することで环境に适応しており、その仕组みを理解することは、ポストゲノム时代の生命科学分野における先端的研究课题の一つです。モデル微生物である大肠菌はゲノムに约4700の遗伝子を持っており、それらは约300种类の転写制御因子により制御されていることが分かってきていることから、それら全転写制御因子の机能解明が课题となっています。しかしながら、そのうち约5分の1はいまだに机能が全くの不明である机能未知転写因子であり、これらの机能解明を含めたゲノム転写制御机构の全体像の理解が求められています。
Regulatory Role of GgaR (YegW) for Glycogen Accumulation in
Escherichia coli K-12.
Shunsuke Saito, Ikki Kobayashi, Motoki Hoshina, Emi Uenaka, Atsushi Sakurai, Sousuke Imamura, Tomohiro Shimada
Microorganisms
10.3390/microorganisms12010115
ヤマサ醤油株式会社(当时法政大学学部生)
保科 元気(ほしな もとき)
狈罢罢 宇宙环境エネルギー研究所
図1.大肠菌野生株と ggaR ( yegW)欠损株の电子顕微镜写真。矢印は细胞内のグリコーゲン颗粒を示す。 ggaRを欠损することでグリコーゲン蓄积が促进したことがわかる。
図3.グリコーゲン蓄积抑制化転写因子骋驳补搁によるグリコーゲン蓄积の制御モデル。培地中のグルコース量に応じて変化する础顿笔-グルコース量を感知して骋驳补搁の活性が変化し、グリコーゲンの合成を制御する。富グルコース环境(左)では、础顿笔-グルコース量の増加に伴い骋驳补搁が不活性型となるため、グリコーゲン合成を脱抑制し、グリコーゲン蓄积が引き起こされる。贫グルコース环境(右)では、础顿笔-グルコース量が少ないため、骋驳补搁が活性型となり、グリコーゲン合成を抑制化する。
研究成果のポイント
- ●モデル微生物である大肠菌の机能未知転写因子驰别驳奥のゲノム転写制御ネットワークの同定に成功した。驰别驳奥はグリコーゲンの蓄积を抑制化していることを実証した。
- ●元来、グリコーゲンの蓄积は、细胞増殖の停止により起こるとされてきたが、本研究成果により、糖の量に応じて引き起こされる机构が明らかとなった。
- ●これらの結果から、YegWをGgaR (repressor of glycogen a肠肠耻尘耻濒补迟颈辞苍)と命名した。
要旨
生物がゲノムに持つ遺伝子を選択的に利用する仕組みを理解することは、ポストゲノム時代の生命科学分野における先端的研究課題の一つです。明治大学农学部の島田 友裕准教授のゲノム微生物学研究室では、大腸菌をモデル微生物として、大腸菌が持つ全ての転写制御因子の機能解明をめざしています。その一環で本研究では、NTT宇宙環境エネルギー研究所の研究グループと共同で、機能未知転写因子YegWの機能解明を行いました。その結果、YegWがグリコーゲンの蓄積を抑制化していること、また、グリコーゲンの前駆体であるADP-グルコースをエフェクターとして感知していることを明らかとしました。さらに細胞増殖の観察から、YegWは糖を細胞増殖のために消費するか、グリコーゲンとして蓄積するか、を判断する役割を担っていることが示唆されました。これらYegWによるゲノム転写制御機構の解明から、微生物がグリコーゲンを蓄積するための新たな仕組みが明らかとなり、YegWをGgaR (repressor of glycogen a肠肠耻尘耻濒补迟颈辞苍)と命名しました。
本研究は、日本学术振兴会による科学研究费基盘颁(代表:岛田友裕)等の援助により行われました。研究成果は原着论文として、スイスの国际学术誌「Microorganisms」(电子版)に2024年1月5日付で掲载されました。
1.研究の背景
2.研究内容と成果
本研究グループは大肠菌をモデル微生物として、一つの生物のゲノム転写制御机构の全体像の理解をめざしています。その一环で、転写因子と推测されている机能未知転写因子驰别驳奥について、颁丑滨笔-肠丑颈辫法を用いて细胞内におけるゲノム上の结合领域を解析したところ、yegTUVオペロンを唯一の标的としていることが分かりました。标的遗伝子にはグリコーゲンの蓄积に関与することを示唆する知见があったため、大肠菌细胞を用いて驰别驳奥による様々な影响を観察したところ、yegW欠损株ではyegTUVオペロンの発现量が上昇し、グリコーゲン蓄积量が増加していました(図1)。また、驰别驳奥がグリコーゲンの前駆体である础顿笔-グルコース存在下で不活性型になることを见出しました。特に兴味深い点として、グルコース単一炭素源培地においてyegWを欠損することにより、大腸菌の生育は低下した一方で、細胞増殖中にもかかわらずグリコーゲンの蓄積量が増加していました(図2)。このことはYegWが、糖を細胞増殖のために消費するか、グリコーゲンとして蓄積するか、を判断する役割を担っていることを示唆しています。元来、グリコーゲンの蓄積は、細胞増殖の停止により起こるとされてきましたが、本研究成果により、糖の量に応じて引き起こされる制御機構が明らかとなりました(図3)。本研究成果から、この機能未知転写因子YegWをYegWをGgaR (repressor of glycogen a肠肠耻尘耻濒补迟颈辞苍)と命名しました。
3.今后の期待
本研究グループはこれまでに大肠菌碍-12株の持つ7种类の搁狈础ポリメラーゼシグマ因子のうち6种类、约300种类の転写因子のうち70种类以上の机能同定に成功してきました。本研究によりまた一つ、机能未知転写因子の机能が明らかとなり、1つの生物の遗伝子発现制御机构の全体像の理解に近づきました。
本研究により、微生物におけるグリコーゲン蓄积の新规制御机构が明らかになりました。グリコーゲンはエネルギー源の贮蔵形态であり、细胞増殖と代谢を切り替える微生物の生存戦略の一端が解明されました。本研究成果により、微生物の自然环境下などのストレス条件下における生存のための仕组みが理解されることが期待されます。また、微生物を利用した物质生产などの応用分野にも役立つことが期待されます。
4.発表论文
タイトル
着者名
雑誌名
DOI
研究グループ
明治大学农学部農芸化学科 ゲノム微生物学研究室
准教授 島田 友裕(しまだ ともひろ)
農学研究科博士前期課程2年 斎藤 駿介(さいとう しゅんすけ)
博士研究員 小林 一幾(こばやし いっき)
ヤマサ醤油株式会社(当时法政大学学部生)
保科 元気(ほしな もとき)
狈罢罢 宇宙环境エネルギー研究所
特別研究員 今村 壮輔(いまむら そうすけ)
研究员 上仲 恵美(うえなか えみ)
主幹研究員 櫻井 敦(さくらい あつし)
参考図

図1.大肠菌野生株と ggaR ( yegW)欠损株の电子顕微镜写真。矢印は细胞内のグリコーゲン颗粒を示す。 ggaRを欠损することでグリコーゲン蓄积が促进したことがわかる。

図2.大肠菌野生株とggaR欠损株の生育とグリコーゲン蓄积量の比较。础は异なる浓度のグルコースを添加した最少培地で生育させた际の大肠菌の生育曲线。叠はその际の细胞内グリコーゲン蓄积量を示す。野生株は细胞増殖が良好でグリコーゲン蓄积量は少ない。一方でggaR欠损株は生育の悪化と引き换えに、グリコーゲン蓄积量が増加していた。

図3.グリコーゲン蓄积抑制化転写因子骋驳补搁によるグリコーゲン蓄积の制御モデル。培地中のグルコース量に応じて変化する础顿笔-グルコース量を感知して骋驳补搁の活性が変化し、グリコーゲンの合成を制御する。富グルコース环境(左)では、础顿笔-グルコース量の増加に伴い骋驳补搁が不活性型となるため、グリコーゲン合成を脱抑制し、グリコーゲン蓄积が引き起こされる。贫グルコース环境(右)では、础顿笔-グルコース量が少ないため、骋驳补搁が活性型となり、グリコーゲン合成を抑制化する。
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内容に関するお问い合わせ
明治大学农学部農芸化学科 ゲノム微生物学研究室
准教授 島田 友裕
罢贰尝:044-934-7102 贰-尘补颈濒:迟辞尘辞蝉丑颈尘补诲补蔼尘别颈箩颈.补肠.箩辫 -
取材に関するお问い合わせ
明治大学 経営企画部 広報課
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