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本棚『アメリカ自然思想の源流 フロントカントリーとバックカントリー』柴﨑 文一 著(明治大学出版会、3,000円+税)



本书はアメリカの自然をめぐる思想(ネイチャーライティング)について、第一人者のソローを始め顕着な足跡を残した诸家の着作や事绩を引きながら、その流れを重厚犀利に论じたものである。その白眉は、しばしばこの思想の源流でソローの师とも言われるエマソンに论及し、西欧の観念论との照応を确かめたうえで、二人の「自然の読み取り方」の相违を説得力豊かに説いたところであろう。

また、この国の自然思想の原点にオーデュボンを位置づけたことと、雄大な原生自然を限りなく爱し、その保护に生涯を赌けたミューアを论述しながら、今日に及ぶアメリカの自然に対する思想と実践の来し方を浮びあがらせた、新鲜な着眼と手际にも瞠目すべきだろう。

更に心に残るのは、哲学的思惟と文学的思惟が交じり合いしかも文章は明晰であること(着者は哲学、伦理学が主専攻)、引用文の訳の美しさ、精密な注とそれが伝える考証の手続きの确かさとそこに窥える学究魂である。本の体裁も、深い森の息づかいが闻こえるような仕立てである。

池内正直?名誉教授(着者は政治経済学部教授)