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本棚「反訓詁学 平安和歌史をもとめて」山田 哲平 著(書肆心水、2,200円+税)



和辻哲郎は、国文学者が和歌史と歌学史とを明白に区别していることを指摘し、和歌は芸术としての诗文の一种、歌学は学问としての文学の一种だとしている。この区别を援用すれば、本书は副题にあるように和歌史である一方で、歌学史でもあるという特色をもつ。すなわち和歌は、単なる一时的な情绪の表出ではなく、理知的で时に政治的でもある、持続的で一贯性のある思考の表现であることを示したのである。しばしば织り交ぜられる西洋絵画との类比も、それゆえに意味をもつ。

本书の核をなすのは、纪贯之が确立したカノン、梅と异なり、「桜の花は运动の方向を持たず、树のもとで咲き、树のもとで散る」という表现规范の継承と変容である。中国文化から脱した日本文化创设への思いをこのカノンに込めた纪贯之をはじめ、カノンを熟知しつつ仏教が浸透してゆく平安末に见合った新机轴を打ち出した俊成女などの、平安期を代表する歌人たちが、连関性をもって配置されている。定家や西行の学识に対する容赦ない批判もすがすがしい。

志野好伸?文学部准教授
(着者は名誉教授)