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本棚「在日華僑華人の現代社会学 越境者たちのライフ?ヒストリー」鍾 家新 著 (ミネルヴァ書房、6,000円+税)



あのときたしかに、华侨华人たちは国境を越えた。しかし、越境した先の、その境界の内侧にあっても、见えない境界が彼らの生活の前に立ちはだかる。

国民国家は福祉国家の容貌を持つ。しかし、その机制の客体となるのは、もっぱら国家が国民と认定したものに限られる。目に见えぬ国境が分かつばかりでない。国境の内侧にある人々の间にも目に见えぬが确実な境界を画定する。

境界の外侧に残して来た家族、境界の内侧にとどまっていたならばという反実仮想、そして越境者としての自らの老いと终末。华侨华人たちは境界を巡る様々な生と死に想いを驰せる。

さらに华侨华人たちにとって境界とは外部によってもたらされるものばかりではない。彼ら自身の间にも世代と时代を超えて精神の境界が生じてゆく。日中の近代化格差のあった时代に越えた者と、その后に越えた者。そして、一世、二世、叁世。

国民国家の时代における正史とは、国家が国民と认定したものの歴史である。しかし、私たちの现代は越境者とともにある。だから私たちは耳をそばだてて闻く必要があるのだ。声を。越境者たちの声を。

木寺 元?政治経済学部准教授
(着者は政治経済学部教授)