本学名誉教授である高远弘美先生の编纂で、市河晴子纪行文集が刊行された。市河晴子(1896-1943年)は渋沢栄一の孙にあたる人で、1931年に夫の市河叁喜と共に渡欧し、旅の日々を『欧米の隅々』にまとめた。1937年には単身渡米、米国と日本各地への旅の体験を『米国の旅?日本の旅』として出版した。本书は、二册の着作『欧米の隅々』と『米国の旅?日本の旅』の中から、高远先生の选による晴子のエッセイを一册にまとめた、珠玉の纪行文集である。90年近く前に缀られた旅の记録でありながら、晴子の文章からは各地の情景がありありと浮かび上がる。纪行文の中で、晴子はしばしば古典文学や汉文、短歌を引用しており、知らなければ気づかずに読み飞ばしてしまうところであるが、高远先生のきめ细やかな脚注に导かれて、読者は晴子の描き出す世界の豊かさを、深く味わうことができる。见ず知らずの土地や习俗に、心を开いてずんずん踏み込んでいく勇敢な晴子の足跡は、现代を生きるわたしたちにとって、何よりも大きな励ましとなる。
瀧口 美香 ?商学部准教授(著者は名誉教授)