新派という演剧ジャンルは、今日、位置付けとしては评価が难しく、そのアクチュアリティを疑问视する声すらある。だが、ここに、映画という参照轴を立ててみると见え方が変わる。本书が明らかにするのはそのダイナミズムだ。メロドラマ、连锁剧、新闻小説等々、分析の切り口は多岐にわたり、まさに新派の“偏在”ぶりとその魅力が分かる。ユーモア作家として人気を博した中野实原作の诸作品が、そののんきさ?悩みのなさ故、「広范な観客の记忆」に沉殿していく力を発挥した様を神山论文は分析する。その力は长らく演剧史的に见逃されてきた盲点だった。シェアマン论文は、『不如帰』(徳富芦花)の舞台化?映画化も含めての受容の分析において、この原作の持つ“异议申し立て”の射程の鋭さを指摘する。だが、この作品の急速なアクチュアリティの丧失が、现存するわずか2本の映画化作品から确认できる皮肉も同时に浮上する。他にも魅力的な论考が连なるが、间违いなくここに、演剧と映画の、非常にユニークな“相互依存性”が见て取れる。
井上 優?文学部教授(著者は法学部教授、名誉教授)