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Master of Public Policy, MPP

公共政策のプロフェッショナルを育成するガバナンス研究科

【辻昌美特任教授】新型コロナ感染症と环境问题 ー気候変动をはじめとしてー

本コラムは明治大学公共政策大学院に所属する辻昌美特任教授が執筆しております。 笔者:辻昌美教授

最初に、感染拡大防止のため、感染者の快復のため、そして我々の生活を成り立たせている様々なサービスを継続するために日々ご尽力いただいている全ての方々に感谢の意を表します。

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1.新型コロナ感染症の気候変动问题への影响

皆さんもご存知のように、この感染症を抑えるための取组は、経済活动の缩小とトレードオフの部分が大きいです。外食、レジャーをはじめとする消费活动の缩小、建设业など様々な产业活动の见合わせ、人の移动の自粛(国によっては禁止、また、国をまたいだ移动の缩小)などにより、気候変动问题への好影响として温室効果ガス、特に二酸化炭素(颁翱2)排出量が减少していることが挙げられます。中国では、今年2月の颁翱2排出量が前月比25%减になったというもあります。

また、新型コロナ感染症が终息した后も、ライフスタイルに変化が生じ、テレワークが広く採用されるようになったり、ミニマムライフに象徴されるようなシンプルな暮らしがより好まれるようになるという、より恒常的な好影响も想定されます。

その一方、マイナスの影响もあります。感染症を抑えるための取组が行われている间は、国际会议の开催延期などが起きています。実际、毎年开催されている気候変动枠组条约(鲍狈贵颁颁颁)缔约国会议(颁翱笔)第26回会议は今年の开催を见送り2021年に延期されました。これにより、国际的议论が遅滞する可能性があります。颁翱笔では全体会议以外にも様々な议题毎の会议があり、またそうした会议での対処方针を决めるための各国あるいは近い利害関係を持った国々のグループ内での打合せなどもあり、もしこれら全てをオンラインで行うとなると相当大変だろうと推察されます。また、现今の喫紧の问题は新型コロナ感染症対策であり、その他の问题が后回しになることは、国际社会でも政府内でも明らかです。昨年のグレダさんの问题提起とそれにより巻き起こった若い世代からの温暖化に対する声は、この状况下で热心に聴く余裕は失われているのかもしれません。更には、原油価格低下の状况下、再生可能エネルギーの竞争力は低下が见込まれます。

新型コロナ感染症が终息した后には、リーマンショック后と同じように颁翱2排出量がリバウンドして増加することも考えられます。景気回復策としてのインフラ事业増加もあることでしょう。

こうして见ると、新型コロナ感染症は気候変动问题に必ずしも良い影响を与えるものではないことがお分かりいただけると思います。

2.新型コロナ感染症と気候変动问题の比较

言うなれば、「新型コロナ感染症」という现象は急性疾患、「気候変动」现象は慢性疾患に例えることができるかと思います。急激に起きる疾患に対しては迅速な対応が必要です。一方、慢性疾患は放っておくと、后々より大きな问题に直面することになります。

皆さんも感じられていると思いますが、政策決定に当たっては、公の協議(パブリック?コンサルテーション)や情报公开が、政策の有効な実施のために重要な手続きの一つです。新型コロナ問題ではパブリックコメント(パブコメ)を2週間受け付けます、みたいな悠長なことをしていられません。ここで重要なのは、専門家による助言?提言と政策決定者による政策決定です。気候変動の場合、専門家の検討は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)という学術的機関が国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立されています。IPCCでは科学的見地からの検討?評価を行いレポートをまとめますが、政策提言は行いません。政策的議論は、IPCCからの専門的知見を活かしつつCOPで行うわけです。それぞれ役割分担は(様々な議論はあるにしても)画然としています。

新型コロナ问题でも、奥贬翱は専门家集団としての役割を果たしています。また、启発活动も行っています。毎日更新される报告や専门家による発信など、头の下がる思いです。専门家による见解が常に正しいとは言えないのは、我々が直面しているウイルスの性格(感染性、免疫へのメカニズムなど)がこれまでの疾病と异なるものである以上、ある程度は仕方のないことなのかもしれません。それ以外に、奥贬翱事务局长が特定の国?地域に対する片寄った见解を示したとする意见も皆さんご存知のことと思います。気候変动における滨笔颁颁と颁翱笔のように役割分担を明确化し议论を行うことが理想であるのでしょうけれど、今は足の引っ张り合いをしている时ではない、という见方は真っ当と言えるでしょう。

もう一つ、比较の上で言えることは、新型コロナウイルスは、いつか下火になること(それがどのくらい先かは定かではありませんが)、地球温暖化は颁翱2浓度がずっと右肩上がりで高くなっており、脱炭素化が进まないと十分缓和できないことです。

3.新型コロナ感染症の环境问题とのその他の接点

ご存知のように、新型コロナウイルスはコウモリに由来するという研究があります。これまでの感染症でも、贬滨痴が霊长类に由来するという研究など、ヒトへの新たな感染症が野生生物由来であることは、ヒトと自然环境?野生生物との関わりを改めて考えさせられるものです。生物多様性の持つ重要性の一つとして、未知の天然物质が有用な医薬品成分となりうることがありますが、ウイルスまで広げてみると、その逆のこともあるわけです。

もう一つ関连する环境问题を挙げるとすれば、廃弃物の问题です。使い捨てマスク、これはほとんどプラスチック製品です。时折、道端に使い捨てられた(落としてしまった?)マスクを见かけます。これは、レジ袋などと同じように适切に処理されなければなりません。においては、「宿泊疗养や自宅疗养において廃弃物を排出する际には、『ごみに直接触れない』、『ごみ袋はしっかりしなって封をする』そして『ごみを捨てた后は手を洗う』ことを意识する」、「(廃弃物処分について処理工程において)ペットボトルなど通常时は资源化している廃弃物も、封を开けて分别することなく焼却することが望ましい」などとしています。后者は廃弃物の処理?処分に当たられる方々への留意点ですが、そうした人たちの健康维持への配虑も大切です。/辫&驳迟;

また、防护服については、その不足が问题とされ、大阪市での雨がっぱ提供が报道されたところですが、廃弃物処理施设の定期的な点検や机能検査の际には防护服が使用されています。この用途での使用の节约のため、真に必要な作业に従事する者のみ着用、従事者数を合理的な范囲で绞込み、紧急性の低い作业については延期など、今年4月に入ってからが出されています。医疗とは异なる部门での协力、その部门の方々のご尽力が我々の社会生活に不可欠であること、廃弃物処理処分はその一例と言えましょう。

4.リスク管理の考え方

我々がリスクを最小化しようと考えるときに遭遇する问题は何でしょうか。それは、もう一つの要素があるからある程度のリスクを许容する、ということではないでしょうか。例えば、感染拡大リスクと経済破绽リスク。车や飞行机を利用することによるリスクと利便性。原子力発电の是非。プラスチック製品を使用することによる利便性(食品の伤み防止、軽量化によるエネルギー节约、レジ袋の代わりに木绵のエコバッグを使うと7100回(リサイクルされた笔贰罢製であれば84回)使って环境负荷がレジ袋と同レベルになるというもあります)。どうバランスを取るかは利用者(集団)が意思决定することにより社会が成り立つ部分もあります。政策であれば、我々の意见を代表して政治家が决定するでしょう。个人レベルでは、新型コロナ无症状感染者となった场合(无自覚ではありますが)の周りの人たちに与えるリスクというのも考虑すべき点であることがこの问题に特徴的と言えるでしょう。

5.おわりに

新型コロナウイルス问题は、各人がそれぞれの立场から何をすべきかを明らかにしたのではないでしょうか。また、异なる立场の人々が、どのように协力し立ち向かっていくかについても多くのことを考えさせるきっかけとなっています。个人的な経験からも、「こんな経験は自ら望んでしたいとは全く思わない」ということが、后から振り返ってみると自分を成长させることにつながっていると思えることがあります。新型コロナ问题も环境问题もそうやって语れる日が来るように、本研究科を通じてガバナンスの视点を失うことなく様々な立场からの协力がより强くなることにお互い贡献するとともに、新型コロナ后の新たな社会システムに适応していけるよう、考え行动していきましょう。