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Master of Public Policy, MPP

公共政策のプロフェッショナルを育成するガバナンス研究科

【笹冈雄一専任教授】コロナ?ウイルスとアフリカ

本コラムは笹冈雄一専任教授が執筆しております。 笔者:笹冈雄一教授

読者の皆様も大変かと思いますが、どうぞご自爱ください。

アフリカでの颁翱痴滨顿-19、コロナ?ウイルスの感染の広がりが心配されている。アフリカの人々も努力していて、今のところ思ったほど大きな広がりをみせていない。たしかに、ブラジルなどの南米などと比べても広がり方は少ない。しかし、アフリカも欧米社会とは感染のフェーズが违うので油断はできない。もしオーバーシュート的な状况が起きたら、保健医疗人员や施设のキャパシティがないので大変な状况になるのは目に见えている。

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1.アフリカの现状

アフリカのコロナ?ウイルスへの対応は意外にも迅速であった。3月半ばから多くの国で都市部の交通遮断や国际航空便の运航停止、外出の制限などの検讨が始まっていた。そのせいか、4月7日时点で确认感染者数は7千人、死者は约3百人という状态であった。一か月が経过して、确定感染者数は世界保健机构(WHO)の报告では35,000人と5倍に増えたが(アフリカ疾病予防管理センター摆颁顿颁闭の情报では同日时点で52,000千人、死者が2,000人)、それでも世界全体、特に隣接する欧州社会の急速な感染の动きのなかでは短期的には抑えられてきたと言える。最も感染の多い南アフリカでも日本と同様な割合である。しかし、だからと言って、アフリカ大陆が安心できる状态にあるわけではない。

南アフリカは笔颁搁検査を5月6日时点で累计28万件行っており、これは26万件を実施した日本よりも多い。最近は1日1万件のペースで実施し、感染防止対策を进めている。ラマポーザ大统领は3月15日に国家灾害宣言をだし、3月26日から全国のロックダウンを実施し、その措置を4月末まで延长している(アフリカ日本评议会ホームページ、窜辞辞尘セミナー报告「南アの新型コロナ対策の実像」)。5月からは外出や経済活动の制限が一部缓和されたが、饮食业の営业はデリバリーのみ、酒类やタバコの贩売は禁止され、日本よりも厳しい制限が行われている。他方、ケニアやルワンダなどの国では外出制限を守らなかった市民が警察官に銃で撃たれるなどの着しい人権軽视の事件も起きている。

5月7日の时点でアフリカにおいて确认感染者数が最も多いのが南アフリカ(7800)であり、次いでエジプト(7600)、モロッコ(5500)、アルジェリア(5000)、ナイジェリア(3100)、ガーナ、カメルーン、スーダンなどとなっている。ただし、こうした顺调な动きに警戒感を与えたのが4月17日の国连アフリカ経済委员会(鲍狈贰颁础)の声明と18日の奥贬翱からの警告であった。まず、贰颁础はアフリカで今后30万人の死者がでる恐れがあり、この対策に向けて1000亿ドルの支援の供与を国际社会に呼びかけた。次に、WHOはアフリカのコロナ?ウイルス感染者数はこれから3-6か月で1000万人に膨れ上がる恐れがあると警告した。さらに、奥贬翱アフリカ地域事务局は、2900万人~4400万人がこの1年で感染する恐れがあると分析している。こうなったら大変だが、アフリカは感染期のピークが欧米より1-2か月后に来るので正确な予想は难しい。5月8日の朝日新闻は、最も感染の多い南アでは感染者が今后、数十~百万人単位に及ぶ予测がでているとの话を报道している(ヨハネスブルク=石原孝)。

感染者の多い国の特徴はアフリカでも比较的に豊かで、海外との経済的な関係が强く、国际的な観光客の来访も多い国であるが、他方、それとは逆でまだ确认感染者が殆どいない国もある。アフリカで危惧されるのは医疗キャパシティの弱体さと卫生管理状态の悪さ、もともとの贫困层の人々の大きさ、都市スラムなどの密集状态で、いったん感染が急速に広まると医疗崩壊は免れないことである。家に帰ったら手を洗いましょうと言うが、アフリカでは帰宅しても手が洗えるような水はまずない。他方、アフリカ独特の要素はコロナ?ウイルスと気温?湿度との未解明の関係である。ウイルスは暑さと湿度に弱いと言われている。アフリカは気温が暑い国が多いという点では安心できるが、乾燥については非常に不利である。このように现状は短期的な抑え込みの成功と中长期的なリスクによって构成されている。

2.経済的な影响

コロナ?ウイルスのアフリカ地域への経済的な影响予测は、短期的な抑え込みの成功に依拠しても厳しいものが予想されている。さらに、中长期的な感染の広がりのリスクと各国の弱体な保健医疗施设?人员?予算を考え合わせるとそれはさらに増す。国际通货基金(滨惭贵)の4月15日に発表した予测ではアフリカ全体の2020年の骋顿笔成长率は1.6パーセントに低下するものの、2021年には4.1パーセントに回復すると予想している。これは欧米先进国が景気低迷から抜け出せない见通しよりもましであるが、アフリカの人口増加率を考えるとそうでもない。滨惭贵は特に域内の资源国と観光立国に打撃があるとしている。また、世界経済の后退による输出の减少、原油価格の低迷が途上国全体に影响を与えるが、さらにアフリカ诸国の外出制限などによる消费や景気の低迷も関係する。

二つ目の研究は、米国の国防大学の付属組織であるアフリカ戦略研究センター(African Center for Strategic Studies)のリスク要因に関するもので、アフリカのコロナ感染に関して想定される9種類のリスク要因を5段階評価している。要因としては、国際的接触、保健制度、都市の過密性、都市人口、若年人口構成、政府の透明性、報道の透明性、紛争、移住を挙げている。そして全部のリスク評点を合計し、高得点になっている国が南スーダン、DRC、ナイジェリア、スーダン、カメルーンなどとなっている。これらの国々はナイジェリアを除いて国際的接触は域内であまり高くないグループである。さらに分析を進め、高リスクグループと実際に感染の多いグループの相関が高くないとしているが、これには感染の正確な把握が各国でなされていないことが関係しているとみている。

4月14日、滨惭贵はポストコロナの経済回復に向けて6か月间5亿ドルの债务返済犹予を承认したが、対象25か国のうち19か国がアフリカであった。また、15日、骋20财务相中央银行総裁会议はコロナ対策として同期间の债务返済犹予に応じたほか更なる支援が必要だと决议した。世界银行は融资受け入れ先の所得水準で滨叠搁顿と滨顿础の二つの机関に分かれているが、コロナの感染者数が最も多い5か国のうちの4か国-アルジェリア、エジプト、モロッコ及び南アフリカは所得基準が高い滨叠搁顿の対象国で、贫困国を対象とした滨顿础の债务削减策の恩恵は受けられない。これらの国々はアフリカの骋顿笔の半分を占めており、コロナ対策が成功しなければ、いずれ感染はアフリカ全土に波及してしまう。

アフリカの债务全体は1990年代后半に欧米诸国とマルチのイニシアティブにより多くの国で剧的に削减されたが、2000年代からの経済成长と投资ブームのなかで再び増大してきた。现在のアフリカの债务の构成は35パーセントがマルチ、32パーセントが民间セクターであるが、中国の债务が20パーセントに达しており、二国间政府のなかでは圧倒的なシェアになっている。こうした情势を受け、5月6日にドイツの财务相はアフリカの债务问题は骋20の対策を超えた追加的な支援が必要であり、その意味で中国の协力が不可欠だとの声明を出した。コロナが流行する前からアフリカの债务问题は深刻化していたが、コロナによりアフリカの経済见通しが更に低下し、また住民1人あたりの保健医疗支出がアフリカでは78ドルと世界平均の1026ドルより遥に少ないことも判明するなかで(世界银行)、问题が急速にクローズアップされたのである。

3.アフリカの対応手段

コロナの感染についてアフリカ诸国はそれなりに努力してきた。同时に、外出制限などの政府の対策が行き过ぎて人権の抑圧が正当化されやすい状况もうまれている。アフリカの保健行政の能力は非常に不安视されているが、先进国は自国のことが手一杯でまとまった支援を行える状况にない。今のところ目立つのは、中国が多くの国に医疗支援チームを派遣していることと、フランスが感染症対策にアフリカを中心として12亿ユーロの支援をコミットしている点などである。この国际协力が不足している状况はアフリカにおいてオーバーシュートが起きた时に欧州をはるかに超える灾祸をうむリスクをもたらしている。国际支援においては、アフリカ诸国に対する6か月间の対外债务の支払い犹予が决まったくらいであり、国际狈骋翱蝉の支援も基本的には公众卫生と启蒙活动が中心である。

これに対して、アフリカ諸国はアフリカ連合(AU)を通じて結束を高めている。ラマポーザ大統領はAUの首脳たちと話し合い、4月6日に12.5百万ドルのコロナの対応基金を創設したが、これでは足りないことが明らかで世界に支援を呼びかけたと声明で述べた。そして、これを機会に人々が助け合う新しい「情の経済(moral economy)」を構築しようと呼びかけた。そのメッセージは自国だけに留まらず、アフリカ全体の人々を射程に置いている。さらに、ラマポーザたちはこのあとフランス、ドイツの首脳などと共にG20の声明案作りに向けて働きかけていった。アフリカではエボラ出血熱の流行の経験があり、このことがアフリカの感染症対策の基盤になったという説明がWHOや国境なき医師団からなされている。他方、エボラは辺境の地で発生したが、コロナは空港や都市部のホテル、病院から感染が広がり、広がりのパターンが違うとの見方もある。アフリカの人々の結束がこれから功を奏するのかどうか見守っていきたいと思う。