情报コミュニケーション研究科は韓国(ソウル)の成均館大学芸術学研究科の方々を招き、2014年12月5日(金)に
「日韓合同研究発表会2014 & 特別講義」を開催しました。また翌日12月6日(土)には情报コミュニケーション学部も交えて、
「作品発表会 Research & Work 2014」(交流会)を行いました。
情报コミュニケーション学部?情报コミュニケーション研究科は、2014年8月に成均館大学芸術学部?芸術研究科と学部間?研究科間協定を締結しました。
以下、情报コミュニケーション研究科の小林(波照间ゼミ博士前期修了)と西川(博士後期3年)が「明治?成均館プロジェクト 2014」 についてご報告します。
初日の研究発表会で成均馆大学の研究者からは、韩国の代表的民众芸能「仮面剧」、20世纪前半に韩国伝统舞踊の再创造を行った韩成俊(ハンソンジュン)、昨年より始まった韩国初のダンスサバイバルオーデション番组「ダンシング9」についてなど、伝统舞踊から现在のポップダンスまで幅広いテーマの研究が発表されました。
情报コミュニケーション研究科からは、江戸時代(18世紀)の「家」を生存の基盤とする民衆の心性を、浄瑠璃「心中天網島」を題材として明らかにした中臺希実さんの発表に、多くの関心と質問が寄せられました。この中で、浄瑠璃の隆盛と同時期に韓国で庶民芸能として人気だった仮面劇やパンソリとの比較研究が、今後の共同研究の展望として示されました。
西川が発表した群马県川场村に伝わる养蚕芸能「春驹」についても、养蚕业が廃れているにも関わらず养蚕予祝芸能が行われていることに関心が寄せられました。具体的な芸态や伝承方法について多くの质问があがり、実际に歌いながら踊ることで答えました。小林はこの时の会场の雰囲気の盛り上がりを感じました。
日韩合同研究発表会2014 発表题目
1 |
凤山仮面剧に内在された阴阳五行思想研究 |
金ヨンジン (成均館 博士修了) |
2 |
浄瑠璃から描く民众世界 |
中臺希実 (明治 博士後期3年) |
3 |
韩国伝统舞踊の近?现代化 |
櫂ヒョジン (成均館 博士後期1年) |
4 |
养蚕业が廃れた地域で続けられる养蚕芸能 |
西川桂史 (明治 博士後期3年) |
5 |
ダンシング9を通した舞踊の大众化方案研究 |
李ソウン (成均館 修士3年) |
6 |
フラ教师の语りに见るメレ?マイの特性 |
中尾爱 (明治 博士前期2年) |
7 |
ラベルの’ボレル‘音楽による舞踊作品分析 |
柳スンガン (成均館 博士修了) |
8 |
「阿波踊り」の変迁におけるジェンダー指向性 |
小林敦子 (明治 博士前期修了) |
9 |
舞台公演におけるドラマツルギーの役割と意味 |
李ドンウオン (成均館 博士修了) |
キーノートレクチャー
「琉球と韩国の纲引き文化」 讲师:瀬戸邦弘(上智大学嘱託専任讲师?明治大学商学部兼任讲师) |
特别讲义(レクチャー公演)
&苍产蝉辫;「崔承喜舞踊の伝承と伝播:日本、韩国、北朝鲜の<扇の舞>にみるアイデンテイテイー」 讲师:田银子(成均馆大学教授)&补尘辫;金ポラム(博士修了)?金采嫄(韩南大学特任教授)?朴贞顺(朝鲜大学校教授) コメンテータ:郑义淑(成均馆大学教授)?森田玲子(中村学园教授) |
翌日の「作品発表会」は気軽な交流会という雰囲気の中で行われました。オープニングでは情报コミュニケーション学部「身体コミュニケーションB」受講生(2年生)と波照間先生が明治大学のハッピを着て沖縄の盆踊りNew Eisaを踊り、会場全員で「ヒーヤ ハイヤ!」と掛け声をかけました。
成均館大学からは鮮やかなチマチョゴリの衣装により、韓国の伝統舞踊「教坊クッコリ」と「太平舞」が披露されました。韓国の伝統舞踊は独特の呼吸法と長短(チャンダン)と呼ばれるリズムが特徴的で、特に「太平舞」の足さばきにそれが表れていて魅力的でした。またコンテンポラリーダンス「separate」は、一つの肉体であったものが2つに分離された葛藤を表したもので、踊り手である李東原(リドンウオン)さんはプロの振付師としても活躍しているということで、そのレベルの高さに納得しました。日本からは中尾爱さんが前日に研究発表した貴重なフラ「メレマイ」を披露し、小林もスペインのアンダルシア地方の春祭りの定番フラメンコである「セビジャーナス」を踊りました。
舞踊以外のものとして、「情报コミュニケーション学」受講生(3年生)6人による「Anna Kendrick-Cups」とインドネシアのコテカンの技法を応用した創作作品が実演され、さらに観客を巻き込んで一緒にやるというものでした。この6人はたまたま中国と韓国からの留学生であり、会場は日韓中のいろいろな年代の男女が、カップを使ったパフォーマンスにチャレンジする展開となりました。
波照间ゼミの学部生3?4年生による「Art-Live-Rally 2014」では、毎年、卒業制作として取り組んでいる神保町をテーマにした映像?写真作品の紹介や、世代間交流企画(於:千代田区西神田児童センター)の内容を紹介しました。観客を引き込んでのパントマイムコント、ダブルタッチ(大縄飛び)、映像とダンスを融合したパフォーマンスなどバリエーションに富んだ演目が披露され、最後は「恋するフォーチュンクッキー」を全員で輪になり踊りました。韓国の方々は瞬く間に覚え、ノリノリで踊っていました。全体を通して、言葉の違いを軽々と超える芸術や芸能の力を感じ、言葉を交わさずとも自然に参加できるように工夫された学部生によるパフォーマンスに感銘を受けました。作品発表というだけでなく、交流という面でも実りの多いものでした。
作品発表会 発表演目
1 |
ハワイフラ Ka Ua I Hamakua |
中尾爱(明治 博士前期2年) |
2 |
教坊クッコリ |
ノスヨン(成均館 大学修士) |
3 |
フラメンコ セビジャーナス |
小林敦子(明治 博士前期修了) |
4 |
太平舞 |
櫂ヒョジン(成均館 博士1期) |
5 |
カップス?レボリューション |
「情报コミュニケーション学」受講生(明治 学部3年) |
6 |
separate |
李ドンウオン?李ソウン(成均館 博士修了?修士3期) |
7 |
Art-Live-Rally 2014 |
波照间ゼミ(明治 学部3?4年) |
通訳:金ジュリ(明治 学部3年)
わずか二日间でのタイトなスケジュールの中でしたが、盛りだくさんの学术および文化交流をすることができました。
研究発表会および作品発表会に参加した情报コミュニケーション研究科の大学院生と情报コミュニケーション学部の学部生の感想をいくつかご紹介して、報告を終わります。
?「明治?成均馆プロジェクト2014」にて、日本近世史社会文化史の立场から报告させて顶きました。报告では、歴史学に留まらず、研究分野を超えた意见交换が出来ました。また、さらには日本だけに留まらず、韩国、アジアと広い视点から、研究视座を広げる可能性まで提示して顶き、非常に有り难かったです。 —中臺希実(博士课程后期3年)
?自分の研究内容を伝える际、他者を念头において论を构筑することが如何に大切か、改めて痛感した研究発表でした。司会である波照间先生のフォローのおかげで、何とか议论まで発展し、研究の进展に有益な情报を皆様にご教授いただけたことは幸いです。もちろん友人としての交流も进み、とても密度の浓い二日间でした。3月に成均馆大学へ伺うのが楽しみです。 —西川桂史(博士课程后期3年)
?身体を媒介にしたコミュニケーションが、こんなにも简単に国籍を超えられることに惊きました。础碍叠48のダンスを全员で笑颜で踊っている瞬间、感动を覚えました。 —中尾美希(学部3年)
?単なる外国の方々との交流だけでなく、异文化アートの交流ということで、言叶という壁をとりはらってすばらしい交流会でした。 —井上岳丸(学部3年)
?(韩国舞踊のクッコリと太平舞に)非常になめらかで伝统的なものを感じ、また妖艶という印象を受けた。(コンテンポラリーダンス蝉别辫补谤补迟别では)紧张感が空気からピリピリと伝わってきた。身体のしなやかさ、一つのものが分かれてしまったというストーリー性がすごかった。 —四谷大辅(学部4年)
?(コンテンポラリーダンス蝉别辫补谤补迟别では)最初は音が无く身体の表现だけでやっていたのが、音楽を体で奏でるのがダンスだと思っていたので、非常に面白いと思った。 —関根竜二(学部4年)
?(崔承喜舞踊公演「扇の舞」について)音楽や扇が日本のおはやしを连想させた。伝统ある踊りが时代の中で再创造されつつ発展し、现在も受け継がれていることに感动した。 —西岛裕美(学部4年)
?伝統舞踊とコンテンポラリーダンスの分野間の垣根はもちろん、韓国と日本の国を越えた交流はきわめて刺激的でした。言葉の壁をほとんど感じなかったのは、ダンスの持つ潜在的な力のおかげでしょう。2日間という短い間でしたが、彼?彼女達から多くのことを学んだ濃密な時間でした。 —中尾爱(博士課程前期2年)
以 上