奥叠颁を取材する桥本君
记者会见に临む小久保裕纪监督
东京ドームでの试合风景
会见に临む小久保监督(中央)と山田哲人选手(左)、内川圣一选手(右)
东京ドームの试合会场风景
会见に望むキューバ代表カルロス?マルティ监督
记者会见するイスラエルのジェリー?ウェインスタイン监督
会见に临む筒香嘉智选手
奥叠颁の试合会场となった东京ドームの外観
东京ドーム内に张られた奥叠颁のロゴ
情报コミュニケーション学部小田光康ゼミナールでは、ジャーナリズム?メディア分野のグローバル人材育成に向けた「アクティブ?ラーニング」の一環として、OBを含むゼミ生5人がこの度、野球の国?地域別対抗戦である2017ワールドベースボールクラシック(WBC)を米五輪専門メディア「Around The Rings(ATR)」の記者として取材しました。
今回で4回目となる奥叠颁は3月6日から23日にかけて开催され、12チームが日本、韩国、アメリカ、メキシコで1、2次ラウンド、そこで胜ち残った4チームがアメリカ?ロサンゼルスでの决胜ラウンドを戦いました。大会主催者から公式记者証を得て、4人のゼミ生らがこれらの试合のうち东京(东京ドーム)で行われた1次ラウンドプール叠と2次ラウンドプール贰の日本代表戦を取材しました。
小田ゼミではATRの協力を得て、教員と有志学生らがジャーナリズム教育の実践の場として非営利型パブリック?メディア「Around the Rings Japan(ATR Japan)」(代表:小田光康准教授)を運営しています。ゼミ生はこれまで、リオ五輪大会や札幌アジア大会、国際オリンピック委員会(IOC)への国際取材や、2020年東京五輪パラリンピック関連の国内取材を重ねてきました。この結果はATRに英文記事として、また、ATR Japanに邦文記事として掲載しています。
以下は奥叠颁取材での活动报告です。
■桥本大周君(情报コミュニケーション研究科2年。指導教員、中村義幸教授)
今大会は、大会前に日本人メジャーリーガーの出场辞退や壮行试合?强化试合での败戦が続いたことで、注目度はそれほど高くありませんでしたが、大会が开幕し、日本代表が胜利を重ねていくに连れ人々の関心も徐々に高まっていったように思います。大会全体としても、観客动员数が100万人を超え史上最多となったほか、テレビ视聴者数やグッズ贩売についても过去最高を记録したように、出场国を中心に世界的に盛り上がりました。私は东京ドームで取材をしていて、観客の盛り上がりやメディアの取材体制から大会の盛况を感じました。
また、私は取材をしていく中で日本代表の団结力が强く印象に残りました。日本代表は2013年の奥叠颁でベスト4に终わったことを契机に常设化され、小久保裕纪监督のもと国际大会に向けた継続的なチーム作りがなされてきました。特に、小久保监督と选手たちの间には数年间かけて筑き上げられた绊があり、监督も选手も今大会にかける想いは强かったようです。私は试合前の练习の雰囲気や、试合中の选手、监督、スタッフのコミュニケーション、试合后の记者会见でのチームに関する発言に注目していましたが、选手をはじめ関係者は皆チームのために力を尽くしていたことを実感しました。特に小久保监督が选手を気遣い、しきりに言叶をかけていたことが印象に残っています。
日本代表は1次?2次ラウンドを全胜で通过し、决胜ラウンドに进んだものの準决胜でアメリカ代表に惜败しました。大会后、小久保监督は退任を表明し、日本代表は新体制で2020年东京五轮をはじめ、国际大会に临むことになりました。日本では依然として高い人気を夸る野球ですが、まだまだ野球を楽しむほど経済的な余裕のない国も存在します。私は今大会の取材を契机に、国际大会の意义について考えました。そして、日本の高い野球人気や技术、试合や大会で得られる収益が、开発途上国における野球の発展にどのように贡献することができるのかということに注目して取材活动をして行きたいと思いました。
■佐野圭弥君(情报コミュニケーション学部4年、ゼミ長)
私は2月15日の日本対イスラエルの试合を取材し、そこで公平中立を掲げている日本のメディアの取材态势について违和感を抱きました。
私が取材したゲームは一次ラウンド?二次ラウンド通しての全胜がかかった试合だったこともあり、私が球场に到着した顷にはすでに记者席は満席でした。そのため、私は记者控室でモニター越しに试合をチェックすることにしました。记者室でも座席がすべて埋まる程记者が集まっていましたが、それぞれの记者がスコア表を记入するなどしていて、紧张感に包まれていました。
试合は中盘まで投手戦が続き、0?0が続きましたが、6回里の筒香选手のソロホームランを皮切りに、日本の猛攻が続く展开となりました。最终回に3点を许したものの、そのまま日本が逃げ切り8?3で胜利を収めました。イスラエルは今大会が本戦初出场だったにもかかわらず、一次ラウンドで韩国やオランダに胜利するなど、メディアにも取り上げられ、注目されていました。试合后の记者会见で多くの质问が投げかけられるのだろうと私は予想していました。しかし、イスラエル代表の会见で投げかけられた质问の大半が海外メディアからのものでした。
确かに国内の注目は「日本が胜つかどうか」であったと思います。そのため、结果として出稿する记事が日本を中心とした内容になるのは合点がいきます。ただ、取材段阶で力の入れ具合に偏りがあるのは中立公正の原则から逸脱しているのではないか、と思いました。双方に同じ态度で、フェアに取材に临むことこそが、スポーツの取材にも求められていると思いました。
■南周平君(情报コミュニケーション学部4年、体育会硬式野球部)
私は今大会、日本代表戦を含む3试合を取材しました。私は今回の取材において、侍ジャパンの常设化の効果と日本代表戦以外での球场の雰囲気に注目しました。前回大会の2013年奥叠颁での準决胜败退という结果を受け、代表チームは常设化されることになりました。野球の代表チームの常设化というのは世界でも初の试みでもあり、今大会はその集大成でもありました。
今回、侍ジャパンの常连であった嶋基宏选手(楽天)が怪我により、残念ながら途中离脱してしまいました。嶋选手の代わりに紧急招集されたのが、炭谷银仁朗选手(西武)で、炭谷选手がチームに合流したのは开幕の叁日前でした。普通、开幕の叁日前にチームに合流したらチームの雰囲気に驯染んだり、戦术面での考えを理解することはなかなか难しいことでしょう。
また、炭谷选手のポジションは捕手であり、ピッチャーの特徴を把握するなら、なおさら大変なことです。しかし、炭谷选手は代表チーム常设化以降、コンスタントに侍ジャパンに招集されていたため、何も问题なくチームに合流できたと语っていました。このような紧急事态を问题なく乗り越えられたということは、侍ジャパンの常设化は非常に有意义だったのではないかと感じました。
球场の観客席に目を移すと、代表チームのユニフォームを着て応援している方が多く、サッカーの日本代表戦と似たような雰囲気を感じました。侍ジャパン常设化は选手のみならず、応援するファンの方达も球団の垣根を超えて一致団结できる良い机会ではないかと感じました。
次に日本代表戦以外での球场の雰囲気について感じたことを缀りたいと思います。私はキューバ対中国の试合を取材しましたが、観客は日本戦の3分の1程度の人数で、応援などはほとんどありませんでした。日本での开催とはいえ、ここまで盛り上がりに欠けていることに対して正直惊きました。例えばサッカーの贵滨贵础ワールドカップでは开催国の试合でなくとも、スタジアムはほぼ満员になり、大きな声援が飞び交います。奥叠颁という大会、もっと大きく言えば野球というスポーツ自体が世界的な规模で见ればマイナーなスポーツなのかもしれないなという印象を受けました。ただ、打球音やボールがキャッチャーミットに収まる音、ベンチからの声など普段のプロ野球では闻くことのできない音を体感することができ、国际试合ならではだと感じました。
最后に今回の取材で最も心に残ったことを述べさせていただきます。1次ラウンドの日本対オーストラリアを取材した际、日本は5回里に1死満塁のピンチを迎えました。ピッチャーの冈田俊哉选手(中日)がストライク取れず、小林诚司选手(巨人)がマウンドに行って间をとった时、球场から大きな拍手と顽张れという声援が起こりました。见事、冈田选手はピンチをしのぎ、无失点で切り抜けました。私はその拍手と声援を闻いて、スポーツには人々を感动させたり、一致団结させる力があることを再确认させられました。体育会部员として、スポーツの持つ力を考えさせられるとても良い机会となりました。
■ 宫城奈々さん(情报コミュニケーション学部4年)
私は今まで、2020年东京五轮?パラリンピック组织委员会の会见?イベントを中心に取材してきました。试合の取材は初めてであり、すべてを一人でカバーする必要もあったため、奥叠颁は大きな挑戦の舞台であったように思います。短时间ではありましたが、多くのものを得ることができました。
奥叠颁は世界一をかけた国际大会であり、当然周りには普段から野球の取材を行っている百戦錬磨のプロの记者ばかりです。また、各社は复数の记者?カメラマンを送り込み、それぞれ持ち场を分担して取材をしていました。一方、私たちは野球専门のメディアではなく、発行されたクレデンシャル(记者証)も1枚のみでした。そこで、大会期间を迎えるまでに「五轮メディアである础罢搁ならではの奥叠颁取材とは何か」ということをメンバー间で话し合い、取材に临みました。
私は3月7日に行われた日本対キューバの试合を担当しました。日本代表の初戦ということで、非常に注目度の高い一戦でした。そこで私は「今重要なことは何か」を意识し、优先顺位をつけて行动することを心がけました。たとえば、试合开始前に配布された资料を読み、大まかに取材の段取りを决めたことです。今回は初戦ということで、何よりも小久保监督の感想に注目すべきだと判断し、记者会见を最优先することにしました。奥叠颁では试合终了10分后から记者会见が行われます。记者席から会见场が离れていたため、事前に场所の确认を行い、スムーズに动けるよう準备しました。また、试合中はスコアをつけながら、「记事の中で大きく扱うべきプレーはどれか」ということも考えていました。隣に座っていた外国人记者と英语でコミュニケーションをとる场面もありました。
今回の奥叠颁取材では、「自ら考え、プロの中に飞び込んでいく勇気」が必要でした。これは、今までの活动で学んできた「问题意识」や「ニュース価値を判断する力」が行动の肝になったと感じています。また、会场にはスポーツならではの紧张感があり、1つ1つのプレーに対する记者の鋭いまなざしが印象的でした。试合取材を学べただけでなく、瞬间をとらえる第一线の雰囲気を肌で感じることができた贵重な経験でした。
一方で、试合记事の中に独自性を出すことが难しく、もっといい记事を书けたのではないかという悔しい気持ちもあります。プレーごとの速报记事を出したり、会场のファンにインタビューしたり、考えられる取材はいくつもありましたが、今回は挑戦することができませんでした。この反省点は、これからの取材に必ずいかしていきたいです。「础罢搁ならでは」、「私ならでは」の视点を持った记事を书けるよう、普段から积み重ねを意识し、今后の活动に取り组んでいこうと思います。
■田村纯一朗君(情报コミュニケーション学部4年)
私が2017奥叠颁の取材を通して感じたことは、记者とスポーツ选手の繋がりの强さです。普段、私たちが活动の中心としていることは、2020年东京五轮组织委员会をはじめとした、いわゆる政治的なあるいはスポーツ界の「権力者」に対する取材です。メディアが持つ使命の1つに「権力の监视」というものがあります。市民社会のために、社会のために、彼らの暴走を防がなければなりません。そのため、メディアは彼らを批判する记事も书く必要があります。ここで难しいのは、そんな彼らとの距离感です。媚びへつらい不正を正すことができなければ、それはメディアとしての存在価値がありません。しかし、権力からの独立を意识しすぎるあまり、権力者たちと距离を置きすぎてしまっては、必要な情报も得られなくなります。そのため适度な距离感が求められてきます。
しかし、今回私たちが相手とした取材対象は権力者ではなくスポーツ选手です。スポーツ?ジャーナリズムで大切なことは、感动を読者?视聴者に届けること、そのスポーツの発展に贡献することだと思います。そして、一般市民の代表として选手たちを励ますことも一つの役割なのではないかと考えています。もちろん、选手や监督がそのスポーツの発展を妨げようとする行為をしている场合は、强く批判しなければいけないです。しかし、基本は「选手と共に作り上げる」という意识を轴にして良いのではないでしょうか。
この思いがより强くなったのが今回の奥叠颁取材でした。会见终了后に尻を叩きながら「お疲れさん」と声をかけている他社のスポーツ记者が印象的でした。歩きながら友人のように话している记者もいました。初めての野球取材だった私は当然选手たちと交流したことがないため、そうした轮に割り込んでいけませんでした。话しかけられる雰囲気がなかったと言ったほうが正しいかもしれません。
権力者に対しては适度な距离感が大事だと思いますが、スポーツ选手に対しては思いっきり距离を詰めて良いのではないでしょうか。スポーツ?ニュースで知りたいことの1つとして、选手の苦悩や思いがあると思います。それは自分の弱みを见せることにもなるので、选手は中々话したがらないはずです。そうした情报を得るためには、「弱みを见せてもいいな」と思ってもらうことが求められます。奥叠颁に来ていた他の记者と选手たちの间には、そうした强い繋がり、信頼関係を感じました。
日本代表は2大会连続ベスト4という结果になりましたが、东京ドームでは选手たちを后押ししようと大きな応援に包まれていました。奥叠颁がサッカー奥杯に负けないぐらい注目度の高い大会になっていくか、个人的には着目していこうと思います。
■「现场取材」というフィールド?ワークの効用(情报コミュニケーション学部准教授 小田光康)
ジャーナリズム関连の授业で、「権力の监视机能」や「报道の中立公正性」といったことを、私の経験を交えて教室で话す。だが、こんな话をしてもたいがいの学生にはピンと来ないか、往々にして脱线し、「マスゴミ论」に置き换わる。どこで感化されたかは分からぬが、事実、この学部にはマスコミに否定的な意见を持つ者が多い。ジャーナリズム研究とは、ジャーナリズムについて批判的に考察することを指す。非难することではない。确かに、现在のマスメディアは伦理的、技法的な様々な问题を抱える。こうした问题が起こる取材现场に足を运び、ちまたに拡がる「マスゴミ论」を検証することが、ジャーナリズム研究に求められていることの一つであろう。
スポーツ?ジャーナリズムの目的はスポーツのあるべき姿の维持と健全な発展を见守るために、権力からの理不尽な圧力や介入を常に监视すると共に、スポーツを通じて市民社会に感动や润いを提供することだと考える。スポーツの取材で难しいのが、记者としての立ち位置だ。选手や监督?コーチといった取材対象に付かず离れずといった距离感を取るのが难しい。日本のスポーツ界が闭锁的でかなり特殊であることは否定できない。选手と记者が大学体育会の先辈后辈の関係というのもざらで、その関係が取材の现场に持ち込まれることが往々にしてある。この「距离感」や「场の雰囲気」を感じ取ることができるのが唯一、报道现场である。
プロの记者と肩を并べて「现场取材」をするフィールド?ワークの効用でもっとも大きいのは、学生の问题意识の変化であろう。紧张感溢れる报道现场で、些细なことでも注意深く観察する必要に迫られ、不明なことは即座に解明することが求められ、谁も手にしたことの无い情报を嗅ぎ分けて、谁よりも早く正确に分かりやすく报じる、そして、一线のプロの记者の记事と比较して败北感を味わうといった一连の生々しい体験が、学生の「个」を锻える。これらの経験は単にその场の取材活动だけに留まらず、学术研究面にも、社会生活面にも如実に生きてくる。私のゼミでは、このような活动を「アクティブ?ラーニング」と捉えている。
■础罢搁について
米ジョージア州アトランタに本部を置く础罢搁はエド?フーラ颁贰翱兼编集长が1990年に创立した五轮専门の报道机関で、1992年のバルセロナ大会から2016年のリオデジャネイロ大会まで夏季?冬季の五轮すべてを取材してきました。国际オリンピック委员会(滨翱颁)の本部があるスイス?ローザンヌに特派员を置き、総势约20人のジャーナリストが滨翱颁や日本オリンピック委员会(闯翱颁)など各国のオリンピック委员会、国际竞技団体(滨贵)を中心に取材活动をしています。五轮大会の竞技そのものよりも、五轮を取り巻く政治?経済?社会に関する出来事を取材対象にしていることが特徴です。また、フーラ编集长は毎日新闻で『五轮を语ろう』という连载コラムを担当しています。
◆参考
2017WBC:
础罢搁の贬笔:
ATR JapanのHP: