暗网禁区

Go Forward

文学部特别表彰授与记念対谈【伊藤氏贵×片瀬チヲル】

文学少女が明治大学を选んだ理由は?



伊藤 片瀬君はそもそも文学少女で、作家になる、芥川赏获る、っていう意気込みで大学に入った、って闻いていますが、なぜ北海道からはるばるここへ?

片瀬 大好きな山田咏美さんの母校、ということがまずあって、卒业论文の代わりに小説创作でもよい、というのも魅力でした。ただ、文芸メディアに入って见て、创作系の授业があることも贵重でしたが、文学を支える思想についてや、文学以外の物も「読む」ことができるんだ、と学べたことも大きな财产です。漫画や映画や街や时代まで。それを无视したら文学だけに凝り固まって、头でっかちになってたかも。面白いものは他にもあるけどやっぱり文学がやりたい、っていうのと、文学しか知らないから文学やる、っていうのとでは、やはり违うと思うので。なぜ私は文学がいいんだろうってずっと考えていました。文芸メディア専攻は媒体としての文学について考えるところだと认识してはいたけれど、媒体の规模でいうなら文学はアニメに负けてるし、実际、専攻の友人はアニメが好きな人がとても多いから、より一层悩みました。

伊藤 ぼくも漫画は好き、っていうどころか、中学时代漫研で、初期のコミケとか通ってましたけど(笑)。でも、どちらか一方选べ、って迫られたら文学ですね。読むべき畑の豊饶さが格段に违います。


大学での「文学」についての発见は?



伊藤 片瀬君は大学で、文学についてなにか発见がありましたか?

片瀬
 二年生のころに大教室でやっていた、伊藤先生の「杀人と文学」の授业が面白かったです。永山则夫などの日本文学ばかりでなく、メアリー?シェリーの『フランケン?シュタイン』を扱った时が特に印象的でした。どこからが人间でどこからが人间じゃない者なのか、を追究していく授业だったと思うのですが。「思うのですが」って言うのは、确认できなくて。ものすごくたくさんノート取ってたのに、提出したら先生が纷失してしまった悲しみはいまだに忘れません。

伊藤
 ……ほんとうに大事なことはそうやって心に残ってるから大丈夫……いや、そうでしたっけ、すみません(笑)

片瀬
 博士の手によってつくられたモンスターは言叶を覚えて人间と変わらない思考を得たけど、そのせいで自分の丑さや寂しさ、苦しさを知ってしまった、というようなことをおっしゃっていて。言叶を得ることの幸せや不幸せについて考える种をいただきました。この世から言叶がなくなればいいのになと思ったことが何度もあります。言叶は人に伝わらないし、言叶で的确に表せるものはそう多くなくて、それなのに悲しくなる原因は大抵言叶にあるなんて都合が悪すぎます。こんなに不自由なものはないのに、こんなに不安定なものに頼るしかないなんて嫌だ、人类はガチョウになればいい、とか跃起になったりして。

伊藤
 なぜガチョウ?(笑)

片瀬 
ガチョウは自由の象徴なんです、私にとって(笑)。だけど言叶の不自由さは私をすごく自由にしてくれるな、とも思うんです。たとえば悲しいな、って曖昧な言叶がぽんと浮かんだ时に、え、私ほんとに悲しいのかな何が悲しいんだろう私のこの悲しさって何、足の爪が一枚一枚全部はがれていくみたいだなー悲しいと足の先からヒリヒリ冷えていくんだなあこれが血の気が引くってことなんだろうか头も冷たくなっていくもん体中の热が上から下にすーっと落ちていくこれは悲しみというより丧失かもしれない丧失っていうと违う軽すぎる一体何なんだこれは、って漠然とした感情を一生悬命言叶に解体していくと、なんとなく先が见えてくることがあって、少しでも形が掴めると、この世は真っ暗ではないというか、そんなにどうしようもない絶望はないんだって思えます。正体が见えてくると、すごく悲しかったことが少しだけ悲しいことに昇华されていたりして。そういう时、言叶って自由だなってなんとなく思うんです。言叶によって泣くけれど言叶がある限り絶望はできないだろうな、とかいうとかっこつけすぎですね。でも言叶があってよかったです。

伊藤
 今そうやってまくしたてることができたのも、言叶あればこそですからね。

片瀬 漫画や映画も面白いけど纯文学に心惹かれるのは、やはり言叶が好きだからだと思います。そこでしか表わせないものが何かある気がして。「これだったら漫画や映画にした方が面白いよ」って言われるものよりも「小説だからこういうことできるんだね」ってものを书きたいです。


受赏と学生生活の関係性は?



伊藤 ところで今回の受赏と学生生活って、なにか関係するところがありましたか?

片瀬 小説家を目指して文学部に行く必要性は必ずしもない、とは思います。高校の先生には「文学部に行けば小説家になれるわけじゃないんだから文学部じゃないとこにした方が面白いかもよ」と言われて。全然违う畑の人とかかわるのも勉强になるし、それはそれで良いネタだけど、文学に関わる友や师を见つけるのは他ではできなかったと思います。私は运良く、书くことに真挚な友人を作ることができました。彼女とはほとんど毎日、なんで书いてるんだろうとか小説家って何なんだろうとか文学ってなんのためにあるんだろうとかこないだ読んだ小説が面白かったとか伊藤先生の授业についてとか(笑)、いろんなことを语りました。

伊藤
 ま、怖いからそれ以上话した中身は闻かないでおきます(笑)。

片瀬 授业を通して鋭い问を与えてもらい、友と切磋琢磨してこられた大学生活、まだ半年残ってますが、これ以上ないくらい恵まれた环境にいられたなって、幸せです。

伊藤 ぼくもかつて评论部门で受赏した赏なので、あまり褒めるのも手前味噌のようで决まり悪いのですが、评论はともかく、小説の方はたとえば龙と春树のダブル村上を辈出した立派な赏ですから、今后ともますます精进していってください。

片瀬 はい。文学が何かとか言叶が何か、なんてことはまだ分からないけれど、在学中に考え続けたように、卒业した后も考え続けるのだと思います。続ける覚悟みたいなものを在学中に得られたこともまた、大きな収穫です。