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研究プロジェクト 2023年度

2023年度

础「公司のダイバーシティ推进の実态调査」

牛尾奈绪美

今年度は、ロータリー国际大会がメルボルンで528日から531日まで开催されることに伴い渡豪し、现地に集う各地区ロータリーに所属する公司経営者や组织运営者と恳谈、意见交换する机会を得て、各组织におけるダイバーシティ推进の実态や、现地社会の人种や性别等の多様性が経済発展に寄与している状况を见闻?视察することができた。また、ダイバーシティ推进に积极的に取り组む大手日本公司数社に対して大规模な従业员意识调査を実施し、回答をもとに実証研究を行い学会での発表や学术论文の执笔を行った。

 具体的には本研究は、组织制度と人事惯行が包摂风土に与える影响とそれらに対する経営トップや职场上司のダイバーシティ?インクルージョン推进行动(D&I行动)の调整効果を、1131名に対するアンケート调査结果にもとづき検証するもので、その结果、包摂风土の形成には、経営トップや职场上司のダイバーシティ推进行动に関係なく、ダイバーシティに関连した人事惯行が重要であること、経営トップのDI行动は、组织制度や人事惯行の在り方とは独立的に、包摂风土の形成にとって重要であるということ、経営トップのDI行动は组织制度の効果を高め、职场上司の行动は人事惯行の効果を高めること等が明らかになった。复数の公司で経年的に従业员意识调査の结果を蓄积してきており、今后も引き続き実証的な研究を行っていくことを计画している。さらに海外での知见やネットワークの构筑も含め、多元的な研究につなげられるよう考えていきたい。

叠「欧州におけるファッション(服饰流行)とジェンダー表象に関する考察」

高马京子

本プロジェクトでは、その时代のジェンダーをめぐる课题とも密接に関係しているといえるファッションとファッションを通して构筑されるジェンダー?アイデンティティについて、フランスを中心に欧州におけるファッションに焦点をあて考察をおこなった。

ファッションはジェンダーをめぐる问题を映し出すと同时に、内在化しているその社会のジェンダーにかかわる问题を明るみにだし时には社会変革を起こす力ももつものである。そのようなファッションとジェンダーをめぐる课题の関係性について社会的背景と関连付けて検讨することを研究课题とする中、本プロジェクトとしては、その基础研究として、歴史的変迁について考察をおこなうこと、また现代の欧州のファッションとジェンダーの関係について明らかにするため、讲师に仏?ソルボンヌ?ヌーヴェル大学メディア?文化?コミュニケーション学部教授のニック?リーズ=ロバーツ氏を招き、2023119日、骏河台キャンパス?グローバルホールでシンポジウム「ファッションにおける失败—ジェンダー、そしてデザインの否定芸术」を実施した。

 元来、フランスのファッション実践に着目しても、宫廷社会におけるファッションの実践、19世纪におけるブルジョワジー台头の中で、男性の富の象徴として女性が记号的消费を実践しファッションを身に缠う行為、20世纪の女性解放の动きと呼応して提案されるファッションなどが挙げられるがキーワードはエレガンス(上品さ)またグラマラスなどが使われていた。しかし现代ファッションの倾向として讲演会报告でも记したように招聘したリーズ=ロバーツ氏は、现在のファッションについて「失败」をキーワードにジェンダーやセクシュアリティ、クイアネス、人种等の文化的アイデンティティの问题と関连付けながら议论を提示した。その结果、现代のラグジュアリー?ファッションの倾向の中にデザイン面の「失败」として、元来「エレガント」であった西洋の规范的な美意识をくつがえすものとしてみなされるとても丑いという意味をもつ「ファグリー“fugly”」という言叶や「かわいい」という特徴が多くみられる様子を提示した。このように、それまでとは异なり、ファッションを通して构筑されるアイデンティティの多様化の倾向がみられる时代に、その多様性を映し出しつつも、その変化をファッションそのものが先导していく様子も伺えた。ファッションを通して提言されるジェンダー?アイデンティティを通してその时代、社会が抱えるジェンダーをめぐる课题が映し出され、かつそれを提言し推进されることが见受けられた。今后の研究课题としては、それらを日本で受容するときに、どのような意味作用がもたれたのかについて検讨していく予定である。

颁「生殖技术の进展と女性アスリートのライフコース変容」

竹﨑一真

本研究プロジェクトでは、スポーツ科学をフェミニズム视点から分析する「フェミニズム?スポーツ科学论」を手掛かりに、叁つの事例について研究を行った。

第一の事例は、女性アスリートの月経管理アプリである。2021年に日本国内で女性の健康管理を行うテクノロジー「フェムテック」が注目を集めて以降、スポーツ界でも関心が高まっていた。なかでも月経管理を行うアプリは、チームマネジメントの重要な手段として认识され始めている。本研究では、スポーツ界における月経管理アプリに関するメディア言説の分析を行うとともに、実际に使用しているチームの监督へのインタビューを行った。その成果を、科学技术社会论学会の学会大会にて报告した。

第二の事例は、女性アスリートの卵子冻结である。女性アスリートの平均引退年齢は、男性アスリートに比べて早く、その背景には妊娠?出产という女性特有のライフコースがあるとされている。女性アスリートの持続可能なキャリア支援は、今日のスポーツ界において喫紧の课题である。そうしたなかで注目されているのが卵子冻结である。欧米におけるいくつかのスポーツ団体では、所属するアスリートが卵子冻结にアクセスしやすいような制度作りを行っている。そこで本研究では、欧米と日本のスポーツ界における卵子冻结をめぐる状况を整理し、欧米と日本の差异を分析した。その成果は、スウェーデンのウプサラ大学とのオンライン研究セミナーにて报告した。

 第叁の事例は、スポーツ科学におけるテストステロンである。テストステロンは一般的に「男性ホルモン」と呼ばれ、男性をより逞しくする物质として考えられている。ところが、近年の运动生理学などの研究分野では、テストステロンは必ずしも筋肥大に好影响を与えないとする指摘がなされるようになった。また近年ではテストステロンをめぐる言説が、男性身体ではなく、トランスジェンダーや高アンドロゲン症の女性身体をめぐる问题と强く関连付けられている。そこで本研究では、スポーツ科学におけるテストステロンの认知に関する歴史を整理し、トランスジェンダーや高アンドロゲン症问题とどのように関连付けられるようになったのかを分析した。その成果は、日本スポーツ社会学会の研究セミナーにて报告した。

顿「ジェンダー?ノンコーフォーミングをめぐるパフォーマンス?アートの电子アーカイブ化」

大岛岳
&苍产蝉辫; 1990年代から2000年代にかけてのアート?パフォーマンス、なかでもドラァグ?クィーンパフォーマンスは、日本のHIV/エイズアクティヴィズムを中心としたクィア?アクティヴィズムにおいて重要な役割を果たしてきた(大岛 2023)。なかでもメディア?アーティスト集団ダムタイプを结成した古桥悌二は、1986年からニューヨークでドラァグ?パフォーマンスをはじめ、帰国后1989年から京都でクラブイベントをシモーヌ深雪とはじめ、自身のHIV阳性判明以后アート?アクティヴィズムを実践し、鑑赏のアートではなく社会の変革をめざしいくつもの実験的な试みを行ってきた。先行研究では、古桥やダムタイプの表象分析や解説は多数あるが、その后古桥の遗志や想いが、どのように継承され、ネットワークを広げながらアクティヴィズムとしてアートが展开されてきたかの解明は、现在でも课题として残されている。

本研究では、古桥と亲交があった东京を中心に活动するパフォーマンス?アーティストに焦点を当て、バイオグラフィーからジェンダー?ノンコーフォーミングと表现についての记録を保存し分析を行う。そのうえで、ジェンダー/セクシュアリティをめぐる日本社会の课题に対し、社会の周縁に置かれた者がどのように苦悩や希望を表现し他者とつながり、どのようなメッセージを発してきたかという个人に立脚した社会学的研究を行うことを目的とする。そのキックオフとなる本年度は、科研で行っている生活史の闻き取り调査と併行し、これまでの作品を収めたメディア(VHSビデオテープ)や纸媒体のフライヤー等が30年近く経过した现在、劣化ないし消失を防ぐ目的で、电子化をおこない基础资料の一部整备を行なった。

 研究成果の一部の発表として、オーストラリアのメルボルンで行われたXX ISA World Congress of Sociologyにおいて、2023629日に研究発表を行なった。また、拙着『HIVとともに生きる——伤つきとレジリエンスのライフヒストリー研究』(20231129日発行)およびGaku Oshima, 2023, Societal Envisioning of Biographical AIDS Activism among Gay People Living with HIV in Japan, Historical Social Research, 48(4) 304-329.に研究成果の一部を発表した。