讲演会『相模原事件をどう乗り越えるのか——「内なる优生思想」と决别するために』开催报告
2022年09月20日
明治大学 情报コミュニケーション学部ジェンダーセンター
2022年6月22日(水)开催
讲演会
『相模原事件をどう乗り越えるのか——「内なる优生思想」と决别するために』
【登坛者】
西角纯志氏(にしかど?じゅんじ)
専修大学讲师。博士。専门は社会思想史。『元职员による彻底検証 相模原障害者杀伤事件——裁判の记録?被告との対话?関係者の証言』(明石书店、2021年)で2022年度社会理论学会研究奨励赏受赏。主な业绩として『移动する理论——ルカーチの思想』(御茶の水书房、2011年)、「法?正义?暴力—法と法外なもの」『社会科学年报』(第54号、2020年)などがある。
【主催】明治大学情报コミュニケーション学部ジェンダーセンター
【日时】2022年6月22日(水)17:30-20:00
【会场】明治大学骏河台キャンパスグローバルフロント1阶グローバルホール
【司会?コーディネーター】宮本真也(情报コミュニケーション学部教授)
【報告】宮本真也(情报コミュニケーション学部教授)
2016年7月に発生した知的障害者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件から6年が経とうとするなか、この讲演会は企画された。事件発生直後から今日にいたる報道において、障害者とその家族をめぐる差別が起きないための配慮がなされてはいたが、他方で事件そのもののが忘却されてしまうことが懸念されていた。
この讲演会では、事件以前の「津久井やまゆり園」に職員としても勤務し、亡くなられた方々の生活支援も担当されていた西角純志さんをお招きし、障害者差別と優生思想について再考し、意見交換を行った。西角さんはこれまで、事件の裁判を傍聴し、加害者との面会と書面を通じて犯行の動機と真相を明らかにしようとし、私たちにも潜在的に働いている優生思想を解き明かそうと試みてきた。
谁もが人间らしく生きるという権利は、私たちのあいだで当たり前のこととされているが、他方で私たちの社会は「役に立つ」「生产性の高い」人物が优遇される社会でもある。価値観の异なる自己と他者とのあいだのコンフリクトをどのように考えるのか、私たちが曖昧に放置しておきがちな问题をメディアはどのように伝えるべきかなど、事件后に浮き彫りになった问题も含めて、多角的に考えてみることが今回の狙いであった。
讲演において西角さんは、①人间社会の根源悪、②事件発生以降の神奈川県の动向、③事件をどう乗り越えるのか、という叁つのポイントについて议论を展开した。本来内部にあるはずの「悪」であるが、それを正当化するために、外部に「邪悪なもの」を作り出し、自分や社会の不幸や危机の理由としてしまう私たちの倾向を、西角さんは讲演を通じて批判的に论じた。自分自身の行為や言叶の正当さや善いことに私たちは疑わないのは、なによりも私たちの内部にこそ悪があり、その悪に私たちが気づいているからこそ、他者への攻撃は强まるのである。こうした人间社会の内にある「根源的な悪」、「见えない敌」こそに「内なる优生思想」があることを西角さんは指摘した。
この「内なる优生思想」が新自由主义的な社会において蔓延した结果が、西角さんによると、経済的、身体的に见て社会的に弱いものを「自己责任论」の名のもとに切り捨てようとする倾向である。この倾向を批判したのちに、西角さんは克服のヒントについて言及した。西角さんは他者の弱さを自覚することで、自分のあり方を正当化する前に、私たちは「自分の内にある弱さを直视」しないといけないとする。加害者である植松のように自分の外に敌を作り、不幸や不自由の理由を説明したり、成长を追い求めるのではなく、矛盾のなかで踏みとどまって考え続ける必要性を最后に西角さんは强くアピールした。
讲演のあとには、司会の宫本が西角さんのお话にコメントと质问を行い、フロアも含めて非常に活発なディスカッションが展开された。寄せられた质问はすべて対応できないほどであった。
新型コロナ感染症の拡大後、対面でのジェンダーセンターのイベントは2回目であったが、申し込み総数が93名(+関係者6名=99名)、実際の参加者数が79名という数字からも分かるように、大変関心が持たれた讲演会であった。アンケートの提出率も高く、今後のジェンダーセンターの活动について期待を示す声も多く寄せられ、社会的承認やLGBTQ+のイベントへの関心を読み取ることができよう。
讲演会
『相模原事件をどう乗り越えるのか——「内なる优生思想」と决别するために』
【登坛者】
西角纯志氏(にしかど?じゅんじ)
専修大学讲师。博士。専门は社会思想史。『元职员による彻底検証 相模原障害者杀伤事件——裁判の记録?被告との対话?関係者の証言』(明石书店、2021年)で2022年度社会理论学会研究奨励赏受赏。主な业绩として『移动する理论——ルカーチの思想』(御茶の水书房、2011年)、「法?正义?暴力—法と法外なもの」『社会科学年报』(第54号、2020年)などがある。
【主催】明治大学情报コミュニケーション学部ジェンダーセンター
【日时】2022年6月22日(水)17:30-20:00
【会场】明治大学骏河台キャンパスグローバルフロント1阶グローバルホール
【司会?コーディネーター】宮本真也(情报コミュニケーション学部教授)
【報告】宮本真也(情报コミュニケーション学部教授)
2016年7月に発生した知的障害者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件から6年が経とうとするなか、この讲演会は企画された。事件発生直後から今日にいたる報道において、障害者とその家族をめぐる差別が起きないための配慮がなされてはいたが、他方で事件そのもののが忘却されてしまうことが懸念されていた。
この讲演会では、事件以前の「津久井やまゆり園」に職員としても勤務し、亡くなられた方々の生活支援も担当されていた西角純志さんをお招きし、障害者差別と優生思想について再考し、意見交換を行った。西角さんはこれまで、事件の裁判を傍聴し、加害者との面会と書面を通じて犯行の動機と真相を明らかにしようとし、私たちにも潜在的に働いている優生思想を解き明かそうと試みてきた。
谁もが人间らしく生きるという権利は、私たちのあいだで当たり前のこととされているが、他方で私たちの社会は「役に立つ」「生产性の高い」人物が优遇される社会でもある。価値観の异なる自己と他者とのあいだのコンフリクトをどのように考えるのか、私たちが曖昧に放置しておきがちな问题をメディアはどのように伝えるべきかなど、事件后に浮き彫りになった问题も含めて、多角的に考えてみることが今回の狙いであった。
讲演において西角さんは、①人间社会の根源悪、②事件発生以降の神奈川県の动向、③事件をどう乗り越えるのか、という叁つのポイントについて议论を展开した。本来内部にあるはずの「悪」であるが、それを正当化するために、外部に「邪悪なもの」を作り出し、自分や社会の不幸や危机の理由としてしまう私たちの倾向を、西角さんは讲演を通じて批判的に论じた。自分自身の行為や言叶の正当さや善いことに私たちは疑わないのは、なによりも私たちの内部にこそ悪があり、その悪に私たちが気づいているからこそ、他者への攻撃は强まるのである。こうした人间社会の内にある「根源的な悪」、「见えない敌」こそに「内なる优生思想」があることを西角さんは指摘した。
この「内なる优生思想」が新自由主义的な社会において蔓延した结果が、西角さんによると、経済的、身体的に见て社会的に弱いものを「自己责任论」の名のもとに切り捨てようとする倾向である。この倾向を批判したのちに、西角さんは克服のヒントについて言及した。西角さんは他者の弱さを自覚することで、自分のあり方を正当化する前に、私たちは「自分の内にある弱さを直视」しないといけないとする。加害者である植松のように自分の外に敌を作り、不幸や不自由の理由を説明したり、成长を追い求めるのではなく、矛盾のなかで踏みとどまって考え続ける必要性を最后に西角さんは强くアピールした。
讲演のあとには、司会の宫本が西角さんのお话にコメントと质问を行い、フロアも含めて非常に活発なディスカッションが展开された。寄せられた质问はすべて対応できないほどであった。
新型コロナ感染症の拡大後、対面でのジェンダーセンターのイベントは2回目であったが、申し込み総数が93名(+関係者6名=99名)、実際の参加者数が79名という数字からも分かるように、大変関心が持たれた讲演会であった。アンケートの提出率も高く、今後のジェンダーセンターの活动について期待を示す声も多く寄せられ、社会的承認やLGBTQ+のイベントへの関心を読み取ることができよう。
讲演后、対谈する西角氏(左)と宫本教授(右)